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【ロボプロでの「勉強する」は学校と違っていい】

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 テキストをガシガシ読んで、ポイントを押さえつつロボットを作り、プログラムを考え、場合によっては実際の動作とテキストとの違いを指摘してくれる生徒もいます。
 今回は、そうでないタイプの人に向けて書きました。

 私は、そうでないタイプの生徒にもっとロボプロを楽しんでもらいたいし、
 将来ロボットつくりをする人になるために必要なテキストの読み方、使い方に慣れてもらいたいと思っているのです。

 ロボプロの授業では、一人一人がテキストを読んで、ロボットやプログラム作りを進めてもらっています。
 その日にやることの目的を書いている最初のページを読み飛ばす生徒が結構います。
 その日のパーツ一覧や道具についてもすっ飛ばして、「ロボットの作り方」まで飛びます。ロボット作りのページがなかったら、最後まで行ってしまって、「やることない」という顔をすることもあります。プログラミングの説明があってもです。

 いろいろな生徒がいるので、読み方、進め方はそれぞれで構わないと、私は考えています。

 でも、読み方はどのような順番でも、自分が理解できるやり方であればよいのですが、一通り全部読むことは必要です。

 最初の文章の段落の頭に、「タッチセンサーを外しましょう」「スピーカーをD3につけましょう」と書いていても、その通りにできていないし指摘しても記憶にないということは、読んでいないのです。

 大学の教科書や研究用測定機材の取扱説明書では、
 図で書いているばかりではなく、文章の中に書いてあることも多いから、
 「そういうものだ」と考えて、研究者としての癖を身につけるためにも、慣れていったほうがいいよ、と話します。

 その上で、ロボプロのテキストは、
 基本的に順に読んでいけばロボットを作れて、
 そこで必要なプログラミングを学べるようになっています。

 大学の研究者が作っているテキストなので、
 10代前半のロボプロの生徒への配慮が足りなかったり、
 プログラムの美しさやシンプルさなど、無駄なこだわりがあって、
 理解の妨げになりそうな個所もあります。

 でもね。このように背伸びしなければいけないというのは、ありがたいことです。
 今の状態でもかなり配慮してわかりやすく工夫されていますから。

 将来、大学や在野で研究をするとしたときに必要なことですから。
 研究書を書く人は厳密に書く必要がありますから、読む人が工夫して読んでいかないといけません。

 ここでこのような体験ができるのは「とても貴重なこと」で、
 プロの世界を覗き見るように感じてもらえたらありがたいです。

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 ある特定の人だけでなく、複数の生徒でこのようなことがありました。

  ・設問があるのに、読み飛ばしている。
  ・設問を考えているのか宙を見ているが手を動かさないので解説をすると、
   フンフンとうなずくが、数字を変えた問題を出すとまた宙を見たままになる。

 読み飛ばしている人もタイプがいろいろあって、
 「面倒なのイヤ」という人から
 「設問があることに気づいていない」という人までいます。
 行儀がよく、先生の言うことを聞き、静かに座っている生徒でも、このタイプの生徒がいます。

 本人に聞いても、その理由が何かわからないようでした。そこで、
 学校に原因がありそうと考え、数学の教科書ではどんな書き方をしているか試しに読んでみました。

 小中学校時代は、それ以降に生きるための
 「生きる力」「知識」「技術」「経験」
 を学ぶための時代だと、私は考えます。だから義務教育期間です。

 私が中学生時代には授業や教科書に疑問を感じたことがありませんでしたが、
 改めて読むと発見がいくつかありました。

  ・必要なことを効率的に学べるように、コンパクトにまとめてある。

  ・「覚えること」「やり方」「結果」しか書いていない。

  ・「覚えている」「できる」で、評価を点数化しやすい。

 そうすると、生徒がどのようなことを悟るかと言うと、

  ・丸覚えしないとダメだ。もしくは、僕にはまるっきりわからない。

  ・教科書には手順が書いてあり、その通りやればいい。
   手順が書いていない設問や応用問題は解説してもらえるまで待つ。
   (試験では、何をやっていいかわからない。塾に行って「この通りやれ」を教わり、その通りやるだけ)

  ・大量の情報への対処で精いっぱい。(自分が学ぶ目的を考えない)

  ・この状態を受け入れてそれなりにやったほうが自分への評価が高くなる。

  ・(現時点で点数が高い生徒は)「これをクリアしたらいいだけなんだね」とレベルを下げる。

 以上を分析すると、

  ・定期試験、受験のための授業と言っても言い過ぎではない。

  ・生徒一人一人の「生きる力」になるための項目がカリキュラムに入っているが、大人が決めたこと。

  ・生徒の視点からの「勉強する目的」「生徒の学びたい動機付け」がない。

  ・学力の中間層を社会での使える人材にするためのカリキュラム。

  ・学力上位層には、「問題が解ける」という優越心を与えるだけ。
   自分の興味・関心から、学ぶ目的を考える機会を設定していない。

  ・学力下位層には、劣等感を与えるだけ。
   クラス全員の同調圧力や本人のプライドがあるので、授業中にわかるまで説明してもらいにくい。

  ・一般に病欠しても、その分を理解するまで補習授業をしてくれるわけではないので、
   基礎的なことが抜け落ちてしまうし、リカバーする機会がない。

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 その結果、学校の勉強は、「学校の勉強」の枠に押し込まれてしまいます。
 楽しいことは、「部活、文化祭、体育祭」「友達つきあい」のみです。
 それでもかまわないと言えば構わないのですが、

   『勉強する楽しさ』

 を知ってもらいたい、と願います。

 ロボプロはちょうどいい機会なんです。
 ロボットを作りたいし、プログラミングもそれに必要だとわかって
 古田先生が監修しているロボットを作る教室への入会を決めたんですよね。

 ここで、学校と同じ振る舞いをして意味があるのでしょうか?
 少なくとも、
 古田先生が「ロボットを作る人になるためには、これらのことが必要だよ」と挙げてくれていることです。

 「好き嫌い」とか「めんどうくさい」とかで逃げてどうなるのでしょうか?

 そういうズルい考えじゃない人も多いと思っています。そういう人たちへ。
 発想を変えてください。例えば、

  ・「ロボットはデジタルだ」

  ・「距離=速さ×時間が基本で、”換算”してこの式に合うようにする」

  ・「ロボットは、操縦しなくても、手で微調整しなくても、すべてプログラミングで設定できる」

  ・「計算をいっぱいしたうえで、パーツの個体差の誤差を調整するために手で微調整はあり」

 これらを「そういうものだ」と受け入れてください。

  ・「普段のアナログの感覚」とは違う世界のことと受け入れてください。

  ・「問題文の数字を知っている式に代入して終わりじゃない」と受け入れてください。

  ・今は基礎をトレーニングする段階なので、
   「ロボットの動きはプログラミングですべて決めなければいけない」と思っていてください。

  ・「パーツの個体差はあるもの」なのであきらめましょう。世の中の製品の精度が高いことに感謝しましょう。

 第3回ロボプロ全国大会のYiuTube動画を見ていたら古田先生がこのようなことを話されていました。

   「考えたロボットは必ず作れます」

 自分のモチベーション管理、体調管理、睡眠管理は自分だし、
 「学ぼう」と思うのも自分です。
 レベルが高くて理解しにくいことは教えますが、
 ロボプロは「教えてもらって、あとは適当に作る場」ではありません。

 「自分で作れる」と信じ、「自分の創造性を自由に」させてください。

 そのために、ロボプロはいろいろなことが学べるし、経験できますよ。

 もし、本当に開き直れるなら、
 「ロボット作りってこういうことをするんだ」と、
 テキストに沿って設問の回答例プログラムを入れて動かす経験を積むだけでもいいです。
 頭を使わないと本当の理解はできないので、もったいないとは思うけれど。

 経験しないよりも、経験したほうが、「将来に役立つ」と言えます。

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