【もったいない】

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[7月に発送した便りです]
 ロボティクスプロフェッサー・コース(略称:ロボプロ)は、ロボット作りの基礎を学び、体験を通してロボット作りの考え方を身につけていく場です。
 そして、自分にぴったりの「学び方」を発見して身につけていく場です。
 「学ぶ」のは、ロボット作り、受験や試験のための勉強だけではなく、自分がやりたいことを実現するために、これからずっとやっていくことです。だから、自分にぴったりの学び方を身につけることはとても大切です。
 「勉強する」を誤解して、ロボット教室を「勉強しなくていい場所」と勝手に判断している人がいるようにも思います。
 「学ぶ」「勉強する」の誤解は、生徒、親、先生ともにとても根強いので、これからも繰り返し触れていきます。

 ロボプロに来ている生徒で、「もったいないなあ」と思う人がたまにいます。
 これらを読んで短絡的な人は、「そんなのだったらロボット教室に行かなくてもいい。やめた方がいいのに」と思うかもしれません。けれど、どこに行っても同じことをして同じ結果になっているでしょうから、おそらく本人も「困っている」「何かわからないけれど、いつもうまくいかない」と思っているのです。
 ロボプロでの時間が、そんな「困っている人」が、解決策を見つけるきっかけになればと思って書いていきます。

※「学ぶ」「勉強する」とは?
 問題の解き方を身につけること、暗記することに取り組んでいる人は多くいます。
 でも本当は、やりたいことを実現するための手段です(「行動」前の「知る」「計画する」ステップ)。
 そして、「あれとこれとの同じところは何か?」「あれとこれとの違いは何か?」と考え、その根拠を見つけることです。

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 こんな人がいます。
 本人は、気づかれていないと思っているかもしれませんが、すべて見えています。
 そして最初に書いておきますが、以下のことをやっていても、ロボプロのテキストのポイントを押さえて読んで、ロボットを作り、自分なりのアイディアを入れ込んで、発展させて楽しんでいるのであれば、何の問題もありません。そんな人もいます。
 けれど、以下のほぼ95%の人は、「時間とお金をもったいない」ことしています。

[もったいない パターン①]
・スマホでSNSをチラチラ見る。
・スマホやパソコンでゲームをする。
・音楽やラジオを聴く。
・組み立て法のところしか読まない。
・プログラムの書き換え法を具体的に書いているところしか読まない。
・リモコンで操縦するプログラムを書き込んで、遊ぶだけ。
・寝る。

[もったいない パターン②]
・「問い」をスルーする。
・考えないと答えが出ない「問い」、面倒そうな「問い」をスルーする。
・「問い」の回答見本を探すのがうまい。そのプログラムを書き込んで終わりとする。
・私から問われて、「わかってる」「できてる」と答える。「具体的にそのことを教えて」と言ってはじめて、「わからなかった」と言う。
・テキストに何も書いていない(問いの答えや計算など)。

[もったいない パターン③]
 少し系統が違いますが、こういう人もいます。
・「問い」の答えがわからないとき、そのページをにらむばかりで、前後のページを調べるよう勧めるまで読まない。
・どんな情報を集めたら答えが出るのか、わからない。
・テキストを読まずにプログラムを書き込もうとしてエラーが出て「壊れてる」という。
・「テキスト通りにやっているから動かないはずがない」と意地になって書き込み操作を続ける。(テキストに「そのままではエラーが出ます」と書いているのを読んでいない)

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[もったいない パターン①]
 「スマホ」のことなど。
 学校で生徒として授業を受けて、変に「学習」して「身につけて」いるように思います。
 「その瞬間、ゲームのようにおもしろいことだけをして、それ以外の時間もそこにいなければいけないのだったら、適当に時間をつぶそう」と考えているように見えます。「その時間は、自分が注目されたり、嫌な思いをしなければいい」と考えているのかも。体験会での説明を聞き流して、「やりたいこと」に時間を使っていなんて、もったいない。

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[もったいない パターン②]
 「スルー(取り組まない)」も同様に、学校で変に「学習」したことです。
 「自信がない」「失敗したくない」「失敗した姿を見せたくない」のかな。
 「見つからなければ、ごまかしてやったことにする」「面倒くさい」。
 「できるだけ何もやらないで、時間が終わるまで過ごしたい」のかもしれません。
 「問い」というだけで、条件反射で逃げているのかも。
 それをロボプロに持ち込んでいるのではないでしょうか?ああ、もったいない。

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[もったいない パターン③]
 「考えない」「調べる行動をしない」について。
 プログラミングをいろいろチャレンジしている人は、家に帰ってからテキストを読み直したり、ノートにまとめていると聞きます。それをしない人の話です。
 まずは、見た目、結果が同じだけれど、「手抜きではない人」の場合。無口な人、口数が少ない人、ことばをしゃべるのが苦手な人がいます。質問、声掛けができません。
 けれど、自分が困っていても何も言わないでいるのは、別の話です。わからないときは、わからないと言いましょう。お父さん、お母さんのような超能力を期待していてはいけません。困っているのだったら、ことばで伝えなきゃ。

 一方で、答えがそこに書いてあるくらいじゃないと「わからない」という人もいます。私が家庭教師や貴族のお付きの人じゃないのだから、自分の力で考えてほしい。自分の頭で考えて、手を動かさないと、理解できないし、記憶にも残らないのだから、自分に適した方法で考えてほしい。わからなくて困っているのはわかるけれど、できる範囲の努力をしてから言ってほしい。経験を積んできているのだから、できる範囲の努力もだんだんと広がってきているはず。いつまで経っても「できる範囲の努力」がわからないのであれば、今まで何もしてこなかったのです。
 ロボプロが「やりたいこと」「好きなこと」であれば、今までやってこなかったことにもチャレンジしてほしい。やり方がわからないのだったら、「こうやってみて」といったことを素直にそのままやってほしい。
 ロボプロでは、「方法や技術」を伝えることはできても、身につけさせることも、「その生徒がやりたいこと」「その生徒にぴったりの学びの方法」を教えることもできません。自分で見つけてください。

 もしくは、「答えだけ」「正解だけ」にしか興味がないのかもしれません。ロボプロは、「正解を書くこと」が目的ではありません。テキストの「問い」は、テキストを書いた人が必要だと思って載せているだけで、ロボプロの生徒全員に必要かは別の問題です。「問いに答える」より「新しく自分で問いを作る」ことの方が重要です(例:「この動きには、どのようにプログラミングしたらいいのだろう?」)。だから、「答えだけ」に興味があるというのは、とても変なことです。
 でもこれは、「やりたいことじゃない」からこうなったのかもしれません。「やりたいことじゃない」から、最短時間で答えを手に入れたい。そして残った時間で好きなことをしたいだけかも。「家や学校で、答え、結果、点数だけしか関心を持たれなかった」結果という可能性もあります。

 もう一つ。小学校低学年だったら、教科書の問題を見たら、そのページを見ただけで理解できたし、答えを何とかひらめいた経験がありそうです。そこから成長していなくて、小学校高学年、中学生になり、「同じ方法でできない僕はバカなのかも」と自信を無くしかけているのかもしれません。
 そのやり方を手放し、今の年齢、今取り組んでいることに応じたやり方に変えればいいだけです。

 そして、根本に戻ります。「やりたいことをやる」です。
 「リモコンで動かして遊べればそれでいい。それがやりたいこと」と言われたらつらいです。ですが、『本気のロボット教室』ロボプロに来ているということは、「リモコンで遊ぶほどではないが、必要そうだし、使えるようになるといいなと思うことを学びたい」と思っていてほしいですね。
 「やりたいことをやる」というのは、「やりたいことのために、やりたくないこともやる。上手にできなくてもいい。時間がかかってもいい。どうしてもできないことは、お金を払ってでも代わってやってもらう」ということです。

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 あらためて、ロボプロは何をやるところなのか?
 小中学生の今の自分ができること、技術や知識でロボットを作ったり、プログラムを作って遊ぶところではありません。そのレベルでは、「いろいろなロボットを、プラモデルを組み立てるように作った」だけです。ロボットの形とコントローラーでの操作の記憶が残るだけです。
 もう一つの視点です。私がロボプロを開講している目的はこれです。今自分が使える技術や知識をすべて使って、目の前の問題の「答えを知る」のではなくて、「考え方のパターンを知る」のです。そしてそれらを使って、自分が設定した「問い」を解いていくのです。
 先に書いた『「あれとこれとの違いは何か?」「あれとこれとの同じところは何か?」と考え、その根拠を見つける』とは、「考え方のパターンを知る」ということです。
 このことが、『ロボット作りの基礎を学び、体験を通してロボット作りの考え方を身につけていく場』ということです。

 どれを選ぶかは、自分自身です。結局こういうところでも、「やりたいことをやる」しかできません。考えて、決めて、行動しましょう。人間だからたまには「もったいない」行動をしてもいいけれど、これまでの特殊な成功体験や「学んだこと」を行動に移して、手を抜いて、もったいないことばかりをしてはいけません。
 「やりたくないこと」をするのは、「お金も時間も頭脳も、もったいない」です。それよりも、「やりたいこと」をやりましょう。

※「特殊な成功体験」の話
 「人間は、インパクトと繰り返しで、信念を固める」と言されています。「信念を固める」とは、考え方や行動を身につけることです。
 今回のコラムの例でいえば、「小学校低学年時の成功体験(そのページを見ただけで答えがわかった)」「黙っていても、助けてもらえた」「普段授業中にスマホを見ていても何も言われない」「『できてる』と言えば、自分が理解していないのを知られない」などです。
 周りの人から見たら、「そんなあほな」と思うことですが、本人は「これまでも、これからも、それでうまくいく」と信じているから困ったことです。
 論破して強制して何かをやらせるのは簡単です。表向きは「おかしな信念」を見えなくしますが、その思いは強固になります。もしくは、それが新しい「おかしな信念」(例えば、自分が何を考えていても、強制的にやらされるもの。そうしたら、相手は静かになる)になります。それではこれまでの学校などの教育と同じです。
 学びラボでは、「やりたいことをやる」をスタート地点に置いて、「自分から」「自分のスタイルで」進んでいってほしいと思っているので、ここまで書いたような、まだるっこしいことを考えて、生徒のみんなに接しています。となると、「簡単にごまかせた」と解釈する人も出てきます。困ったことです。本当に「もったいない」です。

(学びラボ 若狭 喜弘)

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