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【自由研究の自由は自由じゃない?】

category : コラム, 勉強する, 発想を変える 2022.8.27 
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[8月に発送した便りです]

 学びラボ ロボット教室の生徒はみんな知っているけれど、はじめたての人や来ていない人が知らないことは、
●「学ぶ」とは、教えてもらうことではなくて、自分から理解しに行くこと。

●ロボットを作るときにやっていること。
①テキストにはロボット作りのすべてが書いてあるのでじっくり読む。
②順番に考えて、一つ一つ試して、自分の知識や能力を積み重ねていく。ロボットの動きの順番も考える。「適当に」では作れない。
③式を計算することが苦手でも逃げない。国語、算数・数学、物理(理科)が必要。
④簡単にできることだけをやっていないで、少し難しそう・面倒そうに見えて避けていたことにチャレンジする。楽しむ。

【自由研究の自由は自由じゃない?】
1.空気を読む前に「自由にやる」「好きなことをやる」「とことんやる」
 私は新聞から季節を感じています。テレビは持ってないし、インターネットは読み手である自分が興味を持ちそうなものが並ぶのであてにならないし。
 この時期(8月中旬)には、自由研究や読書感想文、もしくは夏休みの宿題そのものが話題になります。夏もそろそろ終わりですね。

 新聞のコラムで、ある子供の声「自由研究は自由すぎても怒られるし、自由じゃなくても怒られる」を紹介していました。
 その子供は、自由研究として最初は「チョコミントアイスの比較研究」と決めて喜んでやっていたけれど、学校で「浮く」と心配して夏休みの後半になって別のテーマに変えたそうです。「空気を読んで、『この程度の自由が求められているんだろうなあ』と先取りする行動パターン」です。
(自由研究 「自由」って何だろう, 教育学者・西郷南海子, 2022年8月20日, 朝日新聞「はぐくむ」面より抜粋)

 「自由すぎず、でも多少は自由であるように」して、両方のどちら側からも先生から怒られず、同級生から目立たないように、自分の行動や感情を抑えています。どんな子供も、同じことを感じていて、同じようなことをしているようです。
 それであれば、自由研究らしくて大失敗しない市販の「自由研究セット」が人気の理由もわかります。
 学びラボ ロボット教室でも「学びラボCUP」という発表の場を毎年設けていますが、発表作品が0点の年もあります。「発表できるほどのものを作れない」と同時に、「目立ちたくない」もあるように感じています。

 これらの行動パターンは、自由研究のことだけではなく、子供たちは生活のすべてで積み重ねています。学校や家庭での日々の生活ややり取りなしに、このような考え方を身につけることはできません。毎日練習と実践をしている訳で、必ず上手になります。私の周りの大人にも、「協調性」という名前を付けて自分の意見の調整をする人が大勢います。
 「大人になって、社会で生きるとはこういうものだ」
 という考え方も間違いではありません。
 でも、「自由にやる」「好きなことをやる」「とことんやる」といったことを、身体を動かして、いろいろ考え、感じる経験をして、これらをいつでもできると自信を持っていないと、周りを見て自分を調整するばかりになります。
 自分にとって好きなこと、大事なことは自由にやって、その上で、「期待される生徒像」に時には合わせてあげるくらいでいいでしょう。
 細かいことにまで「期待する」人もいますが、その時にはその中の一番大事なエッセンスだけを選べばいいでしょう。少し言葉を変えて「生徒らしさ」と言う大人もいます。そんな抽象的なことを言う人は、その人が罰を与える人になりたいだけです。それよりも、生徒一人一人が、人間としてやってはいけないこと、やった方がいいことを自分で考えて、行動したほうがいいですね。

2.「自由にやる」と「無責任に勝手にやる」は違う
 学びラボ ロボット教室で、「自由にやる」のはいいのですが、
 例えば「前回までテキストをほとんど開かないで操縦して遊んでいたので遅れているよ。今日は集中して、テキストをどんどん進めていこう」
 と話していたのに、同じように遊び続けてテキストを進めないのは、「自由にやっている」のではなく、「無責任に勝手にやっている」だけです。
 でも、ロボット教室では「無責任に勝手にやっている」ように見えても、自分から進んでテキストを読んで学んでいたらいいのです。実際の行動が大事です。
 遊びはアイディアをロボットの形にするトレーニングなのでとても大事。だから止めたくないけれど、学校の授業と違ってテキストを進めるのは先生ではなく生徒なので、「自分からやる」しかないのです。前の回の分が終わっていなくても無関係に、毎回新しいテキストを渡してもいいけれど、「うまくいっていない学び方を変えようと考えるきっかけ」にはならないですね。まずは、自分がやっていることが「うまくいっていない」と自覚することからです。
 学校はそれで済んで、教科書は先に進んでいくけれど、何も理解していないので、定期テスト前に塾で解き方を教え込まれ、「勉強って面倒くさい」と思っていることでしょう。けれど根本原因は、授業時間に頭を使って学ぼうとしていないからです。
 当たり前のことだけれど、「学ぶ」ためには「(自分から)学ぶ」をしないと学べません。

3.「自分の学びや勉強」と「人間関係の気づかい」
 子供も大人もありとあらゆることに、「自分の学びや勉強」と「人間関係の気づかい」が混じっています。
 分けて考えないと、中途半端になります。相乗効果でよくなればいいのですが、たいていの場合は「人間関係の気づかい」のために常に周りに注意を払っていないといけないので、「自分の学びや勉強」が後回しになります。
 さらに、「人間関係の気づかい」に気を取られて、「自分が好きなこと」に気づけなかったり、集中して取り組めなかったりします。「自分の人生の主人公」の位置に自分を置きましょう。
 でも「人間関係への気づかい」は大切です。その時には、仲間から浮いているか、目立っているかではなく、「(最低限のレベルで)相手に失礼でないこと」から考えましょう。「横の関係」ではなく「目の前の相手との関係」です。
 そして、「自由にやる」「好きなことをやる」「とことんやる」という学びや勉強は、とても個人的なことで、本来他人は関係ありません。協力してくれる人、教えてくれる人を味方に引き込みましょう。

※「好きなことをやる」と言っても、「楽だから」「考えなくていいから」は違います。「無責任に勝手にやる」でもありません。ロボット研究者になるにしても、ほかの道に進むにしても、小中学校までのことは、理解していて使えて当然で、学校で学ぶ程度のことは「(順番に)考え」ることができないといけません。

(学びラボ 若狭 喜弘)

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