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【プログラムを読める人は本を読んでいる】

category : ロボットつくり, コラム, 勉強する 2022.10.31 
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[10月に発送した便りです]

 学びラボ ロボット教室の生徒はみんな知っているけれど、はじめたての人や来ていない人が知らないことは、
●「学ぶ」とは、教えてもらうことではなくて、自分から理解しに行くこと。

●ロボットを作るときにやっていること。
①テキストにはロボット作りのすべてが書いてあるのでじっくり読む。
②順番に考えて、一つ一つ試して、自分の知識や能力を積み重ねていく。ロボットの動きの順番も考える。「適当に」では作れない。
③式を計算することが苦手でも逃げない。国語、算数・数学、物理(理科)が必要。
④簡単にできることだけをやっていないで、少し難しそう・面倒そうに見えて避けていたことにチャレンジする。楽しむ。

【プログラムを読める人は本を読んでいる】
 「プログラムを読める人は、普段から本を読んでいる人」というのはかなり当たっているんじゃないかな、というお話です。

プログラムを読めるのは、本を読めるから
 本を読んでいますか?
 ある時、ロボット教室の時間のこと。
 ある生徒がプログラミングで困っていたので、ヒントを伝え解説していたら、ポイントを早く理解してくれました。何より、長いプログラムでも読むのをそれほど苦痛に感じていないようでした。
 長いプログラムを読むには、集中力、体力が必要で、構造とルールをわかっていて、離れたところに書いてある事柄のつながりに気づいていることなどが必要です。
 不思議に思ったので理由を聞きました。

 私 「プログラムを読むのを『苦』に感じている様子があまりないね」
 生徒「お父さんが家でプログラムをいじっているのを横でよく見ているのもあるし、本を読んでいるからかなあ」

 なるほどと納得しました。本といっても、プログラミング関係の本ではなくて、小説です。
 「プログラムを読める人は、普段から本を読んでいる人じゃないか」と気づいた瞬間でした。

本を読んで身につく力
 私の推測ですが、本(小説)を読んで身についていることは、

・(読書力)主語から述語まで含んだ一文を読んでいる。単語ではない。
・(塊で理解する力)段落や章をひとつながりのものと受け取っている。
・(関係に気づく力)離れたページに書いてあっても、関係する必要なことを思い出せる。
・(全体をつかむ力)わからないことばがあっても、全体の流れやリズムでひとまず理解して先に進める。
・(課題発見力)どうしてもわからないことばが気になる。
・(解決力)そういった個所を調べたり、考えたり、わかりそうな人に質問できる。

 本を読めれば、いろいろな力を身につけられそうです。確かな証拠はなく仮説ですが。違っていても、本を読む力をつけて損はありません。なお、「主人公の気持ち」などは自然と感じることなので、ここでは扱いません。
 ただし、本の読み方は人それぞれで、私の想定外の読み方をしている人もいることでしょう。例えば、目につく単語だけを見て、頭の中で文章を作って理解しようとしている人がいるかもしれません。文章をそのまま読んでも頭に入ってこないので、このようにしている可能性もあります。この読み方は、残念ながら今回の「本を読みましょう」に合っていません。

 本を読んで身につく力は、多くのロボット教室やプログラム教室で身につくと宣伝されていることが多い「論理的に思考する力」「手順や順番を考える思考力」「全体と部分を行き来できる思考力」などと同じものです。
 結果としてですが、本を読める人はプログラムを読めるし、逆もまた正しいようです。

 でも、「結果として」です。努力したら結果は出るけれど、ほしい結果が必ず得られるわけではありません。どれだけ努力したら、ほしい結果が得られるかは、人によって違うのでやってみないとわかりません。
 コストパフォーマンス高く「答えを知っている人に聞いたらいい」ができたらいいのですが、学校の授業で「ある内容を理解するまでにかかる時間が予測できない」のと同じように、努力するのは当然として理解できるまでの時間はわかりません。
 だから、途中であきらめないように、自分が好きな内容の本、やりたいことが書いてある本を読みましょう。

本を読めた方が良い理由
 まず、本を読むのはおもしろいです。
 そして「本を読める」というのは、やりたいことを何かやろうとするときに絶対に必要なことです。

・興味あることを調べる時、まずは本などを読めばわかる。
・一度読んで理解できないときには、自分のペースで理解できるまで何度でも読んでもわかればよい。
・亡くなった人が言っていたことを知るには、本を読むしかない。
・正しい答えを判断するために、二人以上の人の本を読み比べないといけない。
・本を読めると、手紙やメールの文章が長くても読める。文章が書けるようになる。

 これらのように、やりたいことについて詳しく知るには、まず本を読むことからはじまります。

本の選び方
 もちろん、楽しんで読める本であれば何でもいいです。専門の本や教科書でなくてもいいのです。選ぶ基準は次の通りです。

・ストーリーがある。
・絵はあってもいいが、主語と述語があり、「。」で終わる文章。
・単語や擬音だけではない。
・最初は本を要約した文章でもよい。
・慣れたら、要約されていない元の本を読む。

 もし、理科の本で探すなら、「中学生向け 科学の本」で検索すると、おすすめがたくさん出てきます。学校や図書館で問い合わせても、おすすめを教えてもらえます。ブルーバックスやほかの出版社の似たシリーズにも興味を引くものがあるでしょう。

本を読むのが苦手な人、嫌いな人
 でも、本を読むこと、文章を読むことが苦手だったり、嫌いな人がいます。
 感情の好き嫌いは自分で何とかしてもらうしかないけれど、感情の背景には「食わず嫌い」「楽しくなかった嫌な経験に引きずられている」「脳の特定の機能が若干弱い」などがありそうです。

 「食わず嫌い」「嫌な経験」の人へのアドバイスは、『興味がある本を自分で選びましょう』です。自分で選ぶのが大事です。

 「脳の特定の機能が若干弱い」人も工夫次第で補えます。先に書いた、「文章を読んでもそのまま頭に入ってこない」人も含まれています。
 自分ができること、できないことを分析しましょう。できないことのうち必要なことについて、
 「どうやったらそれを補えるか」
 を考えましょう。家族や先生、病院で相談して、協力してもらいましょう。スマホで記録したり、音声読み上げさせたりなど、道具を使うのもいいですね。
 相談するのが恥ずかしくても開き直りましょう。自分のためです。
 補う方法を見ていじめられたら、いじめた相手が悪いのです。堂々としましょう。そして助けてくれそうな人に相談しましょう。
 「どうやって補うか」をあきらめないで。絶対に自分に合った方法があります。

本を読むことを考える前に自分の感情と体調を整える
 本を読むのが苦手だったり、嫌いだったりすると、感情と体調が乱れる人がいます。
 当たり前のことだけれど、自分の感情と体調を整えるのは自分の責任です。
 学校のすべての教科を得意ではないのはみんなそう。不得意教科で感情と体調が悪くなるのは、自分でなんとかすべきこと。先生の好き嫌いでそう感じてしまうのは仕方ないけれど、それを理由にして教科を嫌うのは別の話。
 おもしろがって授業を受けていたら、自分がやりたいことにつながっていくかも。
 昔から授業中に教科書やノートに絵(普通は落書きという)を描き続ける人がいます。自分が絵を描くのが好きならそれでもいいでしょう。
 このように感情をごきげんにすることは、自分でなんとかできることです。

 一方の体調です。体調が悪くなるのは、人間だから仕方ないことです。
 でも、睡眠不足などは自分でコントロールできることです。自分の力でできることは自分で何とかしましょう。

 感情、体調ともに、自分で整えようとしないで、家族や友達などの誰かの責任にしている人がいます。それは、誰かの責任で仕方なく学校に行っていると感じているからではないでしょうか。「子供が学校に行く義務」はありません。コストパフォーマンス(金銭効率)やタイムパフォーマンス(時間効率)が良いので、学校に行く意味やお得さはあります
 これからの学校は、「学びたいことを自主的に学ぶ人づくり」に移っていきます。今までの学校は「粒がそろった人づくり」「誰かにとって都合が良い人づくり」でした。大勢がテストである点数以上の点を取れるようにする教育です。点数で優劣を決めて競わせるけれど、合格できる人の数を増やして、同じことを同程度できる人を増やすのが目的でした。これに代わって、「自分から学びにいく」になっていきます。
 感情も体調も無理をする必要はありませんが、「自分から学ぶ」ために感情と体調を整えるのは自分のために必要です。

本を読みましょう
 本を読める人はプログラムを読めるし、逆もまた正しいと私は思います。
 「本を読む力」は絶対に必要なものです。立つ、歩く、話すなどと同じ基礎的な力です。「やりたいことをやる」ための基礎的な力です。専門的なことの理解や創作はその先です。
 そのようなかたい話でなくても、「本を読む力」は必要な能力だし、人生を豊かにするものです。興味を持った分野の本を手に取って読みましょう。

(学びラボ 若狭 喜弘)

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