この夏、3か月かけてロボット開発した人の話を書きます。
その人は、福田悠星くん。ロボティクスプロフェッサー・コース(以下、ロボプロ)の3年目に在籍している生徒です。
最初は、「進路を邪魔するもの持ち上げくん」だったのですが、途中から「赤信号すすむ君」になりました。
「普通は信号が赤になったら、車も人も止まらないといけないけれど、赤信号になった時に突進していくロボットがあったらおもしろいね」という雑談からはじまりました。
ロボットを福田くんは、このように考えていきました。
●車体は、1年目に作った超音波距離センサーを使った、人が捕まえようと
近づくと逃げるロボットを使おう。
●もちろん、超音波距離センサーも使おう。
●色判断は、カラーセンサー。3年目のロボットで、筒をつけたら多少距離が
あっても大丈夫だったし。
これらは福田くんとの雑談で覚えていることを書いたものです。
●後輪は、タイヤじゃなくてもいいな。
●まず、電池ボックスは重くなるからつけないでおいて、AC電源でいこう。
●前輪のタイヤも、左右対称じゃなくてもいいよね。
福田くんが素敵なのは、こういうところです。
「テキスト通りにこだわらない。
大事なポイントになるのが何かわかっていて、それだけを形にし、以外は簡易版にする。」
最初はそれでいいのです。
というか、市販のおもちゃは、
「耐水性、頑丈さ、誤作動しない、誰のロボットも同じ」などが満たされたものです。
一方ロボプロでつくるロボットは、
「組み換えしやすい、細かい調整ができる、そのロボットの目的の範囲で強度があればよい」と、
まったく違います。
ネジ穴がずれていても、
ネジの長さが違っても、
パーツがテープで貼り付けられていても、
ロボットの目的から考えて十分だったら、
それでいいのです。
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このあと、以下の課題がありました。
・超音波距離センサーの線をどこに差すか、
カラーセンサーの線をどこに差すか、
モーターの線をどこに差すか、
といった配線の約束(仕様)と競合の課題。
・ロボット開発している部屋で、超音波距離センサーやカラーセンサーが
実際にどんな数値を出しているか測定値の課題。
・プログラムで条件を書くときにどの数字を使うかの判定条件の課題。
・作りたいロボットの動きをさせるために、
プログラムではどのコマンドを使って、
どの順番で書くかのプログラミングの課題。
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私は、「手出しをしない」「福田君自身に答えを見つけてもらう」を基本姿勢としました。
なので、1回の授業中全部、悩んで固まっていたこともありました。
経験としてそのことは貴重でいいことなのですが、
それだけではロボプロに来ている意味がないので、
ディスカッションをしたり、パーツやプログラミングの基本の約束事を確認したりもしました。
これらを乗り越えて、「赤信号すすむ君」ができました。
いや、正確には「赤信号とまる君」ができました。
「条件を逆にしたら、できたも同然だからね」ということで。
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福田くんが素敵なところの続きです。
「『こんなの作ってみたい』と思うところ」
「思いついたら、実際に手を動かし始めるところ」
「まずは自分で解決しようとするところ。
そのために、自分の知識の範囲で試行錯誤するところ」
「プログラミングの最低限の約束事を理解して守っていること」
「プログラミングで、考えて、自分なりの根拠をもって試すこと
(無茶苦茶に、試すつもりではなく根拠なく、適当に、をしない)」
今回、3か月時間があったのは、去年中学3年生になったのにもかかわらず、
ロボプロの3年目に進級して夏ターム(7月~9月)を受講したためです。
そのため、今年の夏にぽっかりと時間が空きました。
時間があったというのが大きな理由ではありますが、
福田くんの
「この場所(ロボプロの教室)で何か面白いロボットを作りたい」
という熱意もまた大きかったと私は思っています。
また、自宅では進めず「ロボプロの授業時間だけ(毎回2時間)で作る」という時間配分、
プログラムを画面だけを見て行っていたのも、
3か月かかった理由でしょう。
大学の研究室や、仕事でのプログラミングやホームページ作りなどは、
時間無制限で切りのいいところまで作業しますので、2時間では短いです。
プログラミングは、紙に印刷して眺めるのも大事です。
また、思った動作をしないとき、
パーツの予備はないし、
質問に答えてくれる相手もいないので、
自宅で進めるのが難しかったと思います。
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こんなに大変なことがあるとわかっていても、
「こんなロボットができないかな」と思いついてしまうのが、【ロボット開発者】です。
1回目はとても大変で、
わかっていたこと、
わかったつもりだったこと、
わかったふりをしていたことに直面して、
うろたえながらも理解しながら進んでいくので時間もかかります。
でも、2回目、3回目になると、ロボプロのテキストのどこにヒントがあったか、
思い出せるようになりますし、何回もやっていると覚えます。
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『学ぶ』とは、こういうことです。
学校の勉強でも、教科書には順番に理解しやすいように書かれています。
でも、自分がやりたいことのために思い出して使おうとしても、
その内容があったことは覚えていても使えません。
本当には理解していなかったことを思い知らされます。
『学ぶ』とか、『勉強する』というのは、それからなのです。
福田くんは、第一歩を踏み出しました。
これを読んでいただいているほかの人もやってみましょう。
普通は3か月ぽっかり空くことはないので同じようにはできません。
でも、ロボプロのテキストにある問題「やってみよう」に答えるだけじゃなく、
「じゃあ、こんなことはできないかな?」と思いついたアイディアにチャレンジはできます。
「チャレンジすること」
「うまくいかないこと」
に取り組むことが『学び』です。
そうして、本当に理解できます。
ほかの勉強も同じです。目的にあった学ぶ場所、先生も探しましょう。
応援しています。
※「ロボプロ全国大会(10月)」
「ロボットまつり(生涯教育株式会社主催:9月)」
「学びラボCUP(4月に予定)」などに出場するのもいい機会です。
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