「そのことを考えただけでニヤニヤしてしまうものは何?」
ロボプロに来ている生徒さんに直接尋ねたことはありませんが、本人や家族の方といろいろな話をしていると、回答にはこのようなものがあるようです。
「ロボプロに来て、何かしら一つずつできるようになること」
「ロボプロの内容すべてを順番にクリアしてコンプリートすること」
「ロボプロと学校の部活を調整してやり切ること」
質問されて、答えられますか?大人も子供も関係なく考えましょう。
「考える」と言っても、頭を絞って考えることではなくて、ふと思いついたことばを拾い上げることです。「自分の中から答えを探す」と言ってもいいですね。
実はこれは、「個人力」トレーニングのための質問の一つです。
「個人力」とは、自分で考えて、決めて、行動して、結果を手に入れる力のことを言います。
自立して生きていくための力です。
「トレーニング」と書いたのは、最初から誰でもできるわけではなく、練習する必要があるからです。
特に今の日本人は大人も子供も、この質問に答える蓋を閉めてしまって答えられない人が多いので、
蓋を開けて、答えを外に出す経験を増やすことを、筋トレと同じくトレーニングしないといけません。
日本人が「蓋を閉めている」傾向があるのは、
「先生が持っている正解を見つけて答えたらOK」
「平均的に、普通に、他の人と同じように」
という思考パターンが刷り込まれているためです。
~~~~~~
質問の答えは、コーチングで「目的」や「ビジョン」と呼ばれるものです。(このあとは、「ビジョン」と書く)
・ビジョンがわかっていると、周りの人に話せますし、話すことで自分のビジョンがより明確になります。
・すべての行動のエネルギー源になります。無駄な行動がなくなります。
・ビジョンを知ったら、話を聞いてもらった周りの人も協力しやすくなります。
・チームで活動するときも、チームのビジョンを同じように理解していると、互いにサポートしやすくなります。
・親が子供の、子供が親のビジョンを知っていたら、互いにタイミングよくサポートできます。
~~~~~~
答える人が、自分の中の答えを探すときの注意点です。
・聴き手にわかりやすい言葉を探してはいけません。一般的な仕事の区分でなくてもかまいません。まずは単語で構わないので、自分のことばを口に出しましょう。
・自分が行動して、もしくは自分が中心になって実現することです。誰かに代わってやってもらうことではありません。すべて完璧な完成品を準備してもらうことではありません。
・今の自分の力で「できること」ではありません。質問「もし、どんな力でも貸してもらえたり、身につけて使えるようになるとしたら、何を実現したいですか?」の答えです。自分が実現したらいいだけです。無責任に答えましょう。
~~~~~~
本人がビジョンをわかっていないとき、教えてくれないときはどうしたらいいでしょうか?
・日常で、何度でも質問を投げかけることです。考える機会、答える機会をプレゼントしてください。
・ビジョンについて話すときには、声のトーン、表情、身振り手振りなどに勢いが出てきます。それを目印にしましょう。
・話を聞いているときに、目の前の人のビジョンが何か感じられたら、伝えてみましょう。
・普段からよく観察しましょう。生き生きとして行動しているときが、ビジョンにつながる行動をしているときです。
・前回と今回と全く違う答えの場合は、今回の答えを大切にして下さい。そして、共通点を探しましょう。共通することが本当のビジョンの可能性があります。
~~~~~~
話を聞くときに次のようなことに注意してください。
・話している途中でことばをはさまず、言い終わる最後まで聞く。否定しない。茶化さない。揚げ足を取らない。判断・ジャッジしない。昔の失敗のことは脇に置く。
・共感して、「嬉しそうやね。協力するよ」と伝える。
・質問をする。「それのどういうところがニヤニヤするポイント?」「そのために今やっていることは何?」「そのために、まず何をする?」
~~~~~~
自分の本当のビジョンをすぐに答えられる人は稀です。
答えられても、「お金を儲ける」「試験に合格する」など、ビジョンを実現するための手段のさらに手段のことも、ビジョンと無関係のことあります。
その一瞬だけ追いつめても答えは出てこないので、時間がかかると覚悟しましょう。
ビジョンを答えてもらうのに、相手を苦しめてしまったら、相手の「個人力」になる答えが出てくることはありません。
じっくりと何度でも問いかけてあげてください。
10年かけてやっとわかる場合もあります。
問いかけ続けることが大切なのです。
~~~~~~
※追伸:
ロボプロに通ってくれている人の中でも、ビジョンが見えてきている人もいれば、ビジョンを考えたことがない人もいます。
ビジョンがわからない人はたとえば、「テスト直前だから」と勉強をしたり、そこから逃げることを考えているだけだったりします。勉強は、ビジョンを実現するために自分が決めてするのです。
将来の話になりますが、目の前のことの対処しかしていないと、
「やりたいことがわからないから、今の偏差値で行ける大学に進学する」
「社会の平均がこんなもんだから、この程度のことにしておく」
「給料が高く、休みが多く、福利厚生がしっかりした会社に就職活動する」
という判断をしがちです。
ビジョンを考える経験と、考え続ける習慣は、自分らしい生き方を手に入れる「個人力」発揮のために必要です。
comment closed