[5月に発送した便りです]
学びラボ ロボット教室に来ていただいている生徒の皆さんは、文章を書くのは得意でしょうか?得意でなくても、苦手に感じてなくて、必要な時に文章が書ければそれでいいと私は考えています。
でも、
特にブロックを使うロボット教室に通う人は、文章を書くのが苦手と言う人が多い印象があります。同時に、話すのが苦手な人も若干多い印象です。
「話すのが苦手な人」は、文字通り話すのが苦手のようです。「文章を書くのが苦手と言う人」は、苦手な人のほか、「文字を書くのを面倒くさがる人」と「文章の書き方がわからない人」がかなり含まれているように感じます。
「話すのが苦手な人」は、次のことに気をつければいいでしょう。苦手の理由を自分で分析して、あとは経験を重ねることです。
①単語を言っただけでは忖度してくれなくて通じない人に、ことばを尽くして自分の意思を伝えようと思う。
②「何を」「どうしたいか」を意識して話す。
③話を聴いてくれる人を選んで話す。
④自分の話を最優先で実現してもらえると思わない。
「文章を書く」は、「頭の中で文章を構成する」のは「話す」のと同じですが、手を動かして文字を一つずつ形にしていくところが「苦手」と思わせやすいのでしょうか。
「文章を書くのが苦手と言う人」の理由には次のようなものがあります。
①全部伝えなくてもわかってやってくれるものなので、全部言うのも、そのうえ書くのは恥ずかしいし、面倒くさい。
②自分がここで伝えなきゃいけないことが何かわからない。それを考えるのが面倒くさい。
③文章の形にする経験が足らないので、やり方がわからない。
④文章を書いて、ほめられたことがないから、モチベーションが上がらない。
⑤文章を書かなくても、話せばいいから。
⑥スタンプや絵文字ですべて伝わるから。
⑦せっかく作った文章なのに、自分の意図と違うところであれこれ言われるのが嫌。
⑧自分が作った文章を添削されるのが、嫌。
理由になっていないものもありますが、頭の中で考えている分には理由として十分と思えるようです。
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話すことも、文章を書くことも、経験を重ねることで上手になれます。
ここで、なぜ話したり、文章を書いたりしないといけないか、『目的』をまとめておきましょう。
第1の目的は、「相手に、自分のために動いてもらうため」です。
そのために、自分が希望することを、過不足なく、相手にわかるように、誤解が起こらないように伝えないといけません。
自分から伝えたのに、相手がきちんと動いてくれなかったら、それは、自分の説明が相手に伝わっていなかったという、自分の責任です。
第2の目的は、「自分の考えを整理するため」です。
例えば、朝8時に学校の始業なのに、8時に起きていては間に合いません。
これと似たことを、「なんか変だなあ」と思いながらやっています。事実を整理したら、がむしゃらにやらなくても、余裕で間に合うかも。
第3の目的は、「忘れるため」です。
覚えておこうと思ったら、脳の一部を常に使っています。
新しいことを覚えたり、考えたりすることができません。
文章に書いたり、ほかの人に話して覚えてもらったら、忘れても大丈夫です。
自分が書いた文章を読んだり、話を聴いたりした時には、思い出せないといけませんが。
やらされることではなくて、すべて自分のためです。今は苦手でも、工夫して自分なりに身につけたほうが良いことです。
テストや読書感想文のためではありません。目的地はもっと先にあります。
テストなどは、話したり文章を書いたりするトレーニングのためのものです。
こんなことで、苦手だとか面倒くさいだとかこだわって何もやらないでいるのは馬鹿らしい話です。
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今年の正月、姪が高校の推薦入試を受けるというので、自己推薦文に意見を求められました。
それなりに書けているように感じましたが、次を指摘しました。
推薦入試の試験官がチェックするのは、
●反社会的なことや、高校生活とズレた内容でなければ何でもかまわない。
●その代わり、文章をきちんと書けるか見ている。例えば、
・主語と述語が対応しているか。
・段落の書きはじめから一貫して一つのことを書いているか。
・1文が読みやすい長さか。不用に長すぎないか。
・語尾が「思います」「考えます」ばかりでないか。なくても話が通じる。
・一番言いたいこと(高校生活で必ずやり遂げたいこと)が、最初に端的に書かれているか。
という話をしました。が、ピンとこなかったようなので、文例を書いて渡しました。どのような文章を提出したかきいていませんが、合格したそうです。
なお、私が「文章を書くときには、5回~10回は自分で添削する」と話したら、「ゲッ」という返事でした。
ところで、ここはロボット教室だから、理科系に進む人が多いでしょう。それでも文章を書く機会はたくさんあります。
空欄穴埋め問題でないテスト、理科の実験レポート、読書感想文、自己紹介文、推薦入試の志望動機など。
文章を書くというのは、文科系、理科系は関係ありません。余談ですが、文科系でも数学がかなり重要になってきています。
文章を書く目的を考えると、上手である必要はありません。
自分らしく、「伝えよう」との熱意が一番に必要です。
このロボット教室でも、ときどき文章を書いてもらっています。
例えば、オンライン授業や自習での「学びの記録」、学びラボCUP4のロボット解説、これからロボット教室に入ってロボットづくりをはじめたい人へのメッセージ、進級しようと思った理由、古田先生の後援会の感想文など。
文章は、その場で上手に話ができなくても、動画をわざわざ観てもらわなくても構わなくて、あとで何度でも読んでもらうことができるので、とても便利なものです。
自分が納得いくまで何度でも書き直すことができるのも、魅力の一つです。
文章を書けるようになるには、
①数多くの文章を書くこと、
②自分で読み手の立場になって添削すること、
③信頼できる人に添削してもらうことです。
そして、最も大事なのは、「この文章で、一番伝えたいことを伝えたい」と思うことです。
あきらめず、書き続ければ、文章を書くポイントが見えて、必ず上達します。
文章を書くトレーニングをしたい人は、お知らせください。
ロボット教室のWebサイトなどに、毎月1回程度書いてくれる人がいたらうれしいなあ。本気で添削して差し上げます。
(学びラボ 若狭 喜弘)
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