ロボット教室に通ってきているある生徒にあてて書いた手紙です。
読み直してみると、ほかの生徒にも、あてはまりそうです。
個人情報にかかわることは消して、文章をまとめました。
ご覧ください。
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最初に書いておきます。
君が責任を持って「よしこれでやってみよう」と、行動すること、
その結果を「こうなったんだ」と、やったことの意味と関連付けて考えること、
それをしなかったら、学んだことになりません。
君の知らない世界で勝手に起こったことになります。
知らない世界で起こったことは覚えませんし、記憶に残りません。今の状況です。
そうしないと、学校でもそうですが、『何が何でもすべて覚えなきゃならない』になります。大変です。
逆に、そのように行動したら、身につきます。知らないうちに覚えています。「勉強しよう」と思わなくてもできます。
「勉強する」って、こういう行動をすることです。訳が分からないことを丸暗記することではありません。
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「何をしたらいいですか?」
「この通りしたらいいですか?」
という質問をよくしますね。
やってみて、
「こんなんなったけれど、いいですか?」
という質問もしますね。
これは、どんな気持ち、心境、怖れからでしょうか?
考えてみてください。
「テキストを読んでその通りやりましょう。やってみておかしなところがあったら、教えて。『うまくいかんかった』だけだとわからないので、どのように判断して、何をどのようにやったか教えて」
と言っています。
テキストを読んで、その通りやっていたら、不要な質問だと思いませんか?
「聞かぬは一生の恥、聞くは一瞬の恥」と言います。けれど、
このレベルの質問は、質問しようとするエネルギーも、質問するまで待つ時間も、君にとって無駄だと思いませんか?
だからなぜ、こんな無駄なことをするのか、教えてほしいのです。
わざわざこんな無駄なことをする理由を考えてしまいます。
可能性をいくつか考えました。
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①いつもその場しのぎ(とりあえずうまくいったらそれでいい)
ロボット教室の1年目は、比較的内容は簡単だったから、考えなくても、覚えていなくても、ちょっとした勘で、「正解のロボットの動き」をさせることができた。
その時は君が、「自分で答えを出す」のが目的じゃなく、「テキストの問いにあったロボットの動きをさせる」のが目的になっていたから、考えることがなかった。
ロボット教室での学び方を練習するいい機会だったのに、「結果が出たからいいじゃん」と、何もやらなかった。例えば、わからなかったら、そのページ、前のページ、これまでやってきたことを、テキストをさかのぼって調べるなど。
だから、使った技術だけでなく、やったことさえ覚えていない。
同じことを、学校の勉強でも小学校1年生からやってきていませんか?
②手抜き
忘れやすいなら、それをカバーする方法の例をいくつも若狭から提案した。君に合う方法は、君にしかわからないから。
でも君は、その場ではやってみるが、次回以降も続けて自分の手を動かして試そうと何もしない。
代わりの方法を自分で考え出そうともしない。
次に提案されるのを待っている。「提案がないのは相手のせい」?
③小さいときに、考えて、やったことをひどく怒られた
小さいとき、君が自分で考えて行動したことをムチャクチャ怒られて、それがきっかけで、「臆病になった」「自分の考えを探すことをやめた」。
覚えていないかもしれないけれど。
④プライドが高いから、失敗したくない
とにかく失敗したくない。
言われたとおりにやったら、失敗しないだろうから、言われたとおりにする。
「考えろ」は、指示じゃない。考えたことは失敗するかもしれないから、考えない。絶対に考えない。自分の考えを出さない。
とにかく、例でも、見本でも何でも、「言われたことを、言われたとおりにする」。
ただそれだけ。
⑤「がんばったらなれるだろう結果」だけを「何もしないで夢見」ている
「こうなりたい」と思っていても、「何もしない」。
「これをやったらいいよ」と言われても、「何もしない」。
理由は、「僕は小中学生だから、わからない。できなくても当然」。
でも、なりたい。
「何をやったらいいか、思いつかないのだったら、今、こういうことをやってみては?できることだよ」と提案しても、すべて却下している。「部活や塾で忙しいから」。
どないせい、ちゅうねん。
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どれでしょうか?ほかにあるかもしれません。
どれにしても、今の自分に意味のある行動でしょうか?それは「得」ですか?
①②③④⑤のどれも、今の君にとっては、バカバカしい、役に立たない理由じゃないですか?
これを、自分の中で、もしかすると気づいていないかもしれません。
自分の心が勝手にしていることに「気づくこと」が大事です。
気づいたら、「まずこれをやってみよう」と、どんなことでもいいです。今の自分に合った方法でとても小さなことからはじめましょう。
君が、自分の意志で「よしこれでやってみよう」と、行動すること、
その結果を「こうなったんだ」と、やったことの意味と関連付けて考えること、
これを繰り返してください。
思いは行動に現れます。
もし、これができないのだったら、「好きなことではない」「やりたいことではない」と、周りから思われます。
少なくとも、僕はそう判断します。
①~⑤が理由だったら、「そんなの捨ててしまえ」と考えます。
「がんばったらなれるだろう結果」だけを「何もしないで夢見る」のではなくて、
何になりたいとか考えてないけれど、「何か知らんけどやっている」ことが、
とても大事です。
力になれることがあれば、お知らせください。
一緒に考えましょう。
自分で決めることやね。
学びラボ ロボット教室 若狭 喜弘
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余談
まったくの余談です。
ロボット教室に来る生徒の中には、組み立てて、動いて遊べるのだけに関心がある生徒がいます。
もしくは、ロボット教室に来て、いすに座って授業を受けただけで、ロボットづくりができるようになれる、と思っている生徒がいます。
自分の頭で考えることをしなければ、言われたとおりに組み立てることしかできません。(上司からの指示通りに。取扱説明書の通りに)
僕が想像する、そういう人の将来は、
①ロボット工場のラインでネジ止めする人・・・工場のロボットに置き換えられる
②プラモデルのレベルで作る人・・・・・・・・お金を払うだけの消費者
そういう人生を受け入れるのであれば、それでもいいでしょう。
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