[12月に発送した便りです]
全国にあるヒューマンアカデミー ロボット教室修了生のインタビュー記事が公開されています。
https://kids.athuman.com/robo/alumni/?code=140000
すごい人は誰も、大きな目標を持って、大学に合格するために一直線に無駄なくずっと勉強したように読めるかもしれません。もしくは、普段から学校の成績が良い人だろうと思うかもしれません。
全国大会に出場するような人たちだからそうかもしれません。でも、そうでないかもしれません。実際にはいろいろでしょう。一つ言えることは、必要な時に集中して勉強した、ということでしょう。
試験に合格するために、一所懸命に勉強するのは大事なことです。最後の追い込み時の勉強で、知識量が急上昇するのはあり得ます。必死になったら、「火事場の馬鹿力」を発揮しやすくなります。
「急いで覚えたものは、すぐに忘れてしまう」とも言いますが、記憶の片隅に残っているだろうと願っています。
インタビュー記事に出ている人たちも、同じ経験があるはずです。
~~~~~~
「ごきげんに生きる」とは、どのように生きることでしょうか?
少なくとも「流されて生きる」「言われたままに生きる」「あきらめて生きる」ではありません。
ポジティブなことばに言い換えましょう。
「この問題をなんとか解決したい。ロボットで何とかできないか」などと考えて生きるのが、「ごきげんに生きる」ということです。
古田貴之先生は、ご自身が難病になり、寝たきりになったことがあります。「こういうロボットがあったらいいなあ」という思いと関連があるのでしょう。車いす型ロボット、介護のロボットを考えたと話されていました。
最近、進路相談に乗っていた時にも似た話を伺いました。[脚色しています]
家族が介護されていて、肉体的にとてもきつそうに見えていました。介護ロボットを開発中というニュースを聞き、自分も作って家族を助けたいと思ったそうです。
※「ロボットとは何か?」。例として、車いす型ロボットを頭に思い描いてください。
ロボットとは、人力で動かすのではなく、モーターをつけただけでもなく、プログラムを作って上手によい加減で動くようにした機械。
ヒューマンアカデミー ボット教室では、「感じて、考えて、動く機械」をロボットとしています。
「この問題を何とか解決したい。ロボットで形にしよう」と考えるのが『目標』です。
「これは困っているなあ。なんとかならないかなあ。ロボットでできるぞ」という困りごとは、身の回りにいくらでもあるはずです。
このようなロボットを開発できたら、作っている自分は楽しいし、周りから感謝してもらえることがあります。(感謝してもらおうとして何かをするのではありませんが・・・)
~~~~~~
ここまで書いて、気づきました。「困りごと」と「ロボットで解決する」は、ドラえもんの「のび太くん」と「ヒミツ道具」の関係に似ていますね。
違うのは、「ロボット(=ヒミツ道具)を自分で作ろう」というところです。
のび太くんの困りごとは、工夫したり努力したりすれば済むことが多いのですが、つい調子に乗って、ドラえもんが出すヒミツ道具に頼る様子がマンガになっています。
私たちの普段の生活では、「ロボットやAI」で実現しつつありますが、それらがなくても解決する「工夫や努力」は必要です。(考え方の基本です。人間ができないことは、ロボットやAIに代わってやらせることはできません)
ヒミツ道具が現実になったら、生活が便利になります。
ヒミツ道具は、現在わかっている科学の法則の範囲(つまり、普通のこの世界)で可能なもののうち、実現しているもの、実現にはまだまだ時間がかかりそうなものがあります。自動翻訳機は売られていますし、背負うタイプのタケコプターは大学や企業で開発されているというニュースを見たことがあります。
これら今世界で研究・開発中のものは、「困ったなあ」という問題からだけではなく、「ドラえもんの世界を実現したい」という目標からもスタートしています。今回の文章とは少し意味が違いますが、この方向の目標もありです。こういう好奇心が科学を発展させています。
「役に立つもの」を作ろうとする方が応援されやすいですが、「役に立たないもの」を作る方が燃えて力を発揮できる人もいるでしょう。どちらでもかまいません。
今役に立つと思われなくても、あとの時代の人が判断してわかってくれたらいいものもあります。そんなに気にしなくてもいいと私は考えています。(生活費を稼ぐ必要はあるので、実際には柔軟に考えましょう)
~~~~~~
毎年、最初の授業でスケジュール帳をプレゼントしています。
その中に、「今日のしつもん、今年のしつもん」「手帳の使い方」をはさんでいます。
「今日のしつもん、今年のしつもん」に、次のような しつもん があります。
『今日の「ごきげん度」は○○%?』
これまで書いてきたような「ロボットでやりたいこと」があって、それに取り組んでいたら、きっと「ごきげん」です。
これが、『目標』です。
学びラボ ロボット教室がロボット教室だから、「ロボットをつくろう」と書いていますが、スポーツでも、音楽でも、絵でも、造園でも、YouTuberでも、ゲームプログラマーでも何でもかまいません。
これらは実習系の分野ばかりですね。主要5教科では、作家、翻訳家、ほかには、大学の研究者、教授や博士(ドクター)の肩書で活躍する人でしょうか。
とにかく、興味があってやりたいことに取り組むことが「ごきげんで生きる」秘訣です。
~~~~~~
この時、「解決したい課題」「やりたいこと」について、「やらない理由」「できない理由」を考えないでほしいのです。だって、自分の人生だから。自分の人生だったら、「やる」と「準備中」しかありません。
私の経験を記します。
かなり長い間、「解決したい問題」「やりたいこと」が無かったので、無意識に「一番すごい人になる」と思っていました。ことばにしていなかったので、ここまでとんがった考えではありませんでしたが、無意識ではこれでした。そして、それは達成できませんでした。世界中の全人類のだれにも常に勝っていないといけないって、不可能です。大学時代のクラスメイトや先生などに「勝とう」と考えること自体があらゆる意味で間違いでした。勝つ相手ではなくて、力を貸しあう仲間です。そのためには、「解決したい問題」が必要でした。テストの問題じゃないので、「問題は先生が出すもの」ではありません。「(自分が)解決したい問題」です。
私は、この絶対に勝てない戦いをしていました。それでも楽しければいいのですが、そんなことはありません。苦しいのだったらやめておいた方がいいです。達成感もないし、劣等感を感じるばかりで、楽しくありませんでした。比べるなら、過去の自分と比べましょう。そして何ができるようになったか、どの程度実力アップしたかを測りましょう。
「世界で一番になる」が無理というのは、世界中の本をすべて読むことはできないし、世界中の動画をすべて見ることもできないことと同じでした。自分の人生の使い道は、もっと絞ったほうがよさそうです。
「ごきげんに生きる」には、「自分が解決したい問題」「やりたいこと」に取り組んだ方がいいです。そうした方が、興味を持ってもらえ、インタビューされる人になれます。
2020年は、コロナウイルス感染拡大で、毎年と同じに、または計画通りに行事や行動できなかった人が多いと思いますが、誰もがその時々にやるべきことに取り組んできました。その時にはその時の「解決したい問題」に取り組めばいいのです。
だから安心して、次のことを考えましょう。
2021年に「ごきげんに生きる」ために、何のテーマに取り組んでいきますか?
その時の自分の姿は、「かっこいい」ですか?
(学びラボ 若狭 喜弘)
comment closed