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【君はどのレベルでロボプロの時間を楽しんでいるか?】

category : コラム, 勉強する, 発想を変える 2021.4.27 
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[4月に発送した便りです]

「ロボットやプログラミングなら自分にできそうな気がする。おもしろそう」
「思い通りに、ロボットを動かせるようになりたい」

と、はじめたころの自分を思い出しましょう。
そして、何を経験してきたか、いま何をどれだけできるようになったか、指折り数えて自信を持ちましょう。

【君はどのレベルでロボプロの時間を楽しんでいるか?】

 「ロボットとは、自分(人間)が考えた動きを上手によい加減で動くようにプログラミングした機械」です。

 だから、プログラミングの「正解」は、自分が決めたらいいのです。

 さて、ロボプロの授業時間に生徒の皆さんを見ていて、「もっと楽しめるように」との思いを込めて声をかけることがありますが、伝わっているように思えないことが多々あります。
 単に「さっさとしろ」と説教しているだけ、単に「勉強しろ」と言っているだけに聞こえているんだろうなあ、といったように。

 自分自身の10代の時代を思い返してみて、自分が何をやっているかわかっていなかったですから、誰も同じで仕方ないことです。
 つまり、教科書の章末問題や問題集を解くし、テストの点数や模試の結果の順位はわかるけれど、入試合格判定のレベルに関心はあっても、それとはまったく別の基準の、自分がどのレベルの勉強をしているか考えたことがなかったし、ほかにどんなレベルがあるのか、気にもしていませんでした。

 そこで、自分がどのレベルで学ぼうとしているか、ほかのレベルだとどんなことをしているのか知ることができれば、学校の勉強にも役立つだろうと思って、『ロボプロを例にして』お伝えすることにしました。

★ロボプロの時間を楽しんでいるレベルは5段階
 「ロボプロで学ぶ・楽しむ」には、0~4の5段階あるんだよ、という話からはじめます。これから後は、基本的にロボプロでの話です。

 人は自分のことしかわからないし、できる人を見て「すごいなあ」とあこがれたりします。学校だと、きちんとやっている人は「マ・ジ・メ」と言われ、いじめの対象になってしまうかもしれませんが。
 ロボプロにはいじめる人はいませんので、のびのびと学び、楽しんでください。

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~ロボプロの時間を楽しんでいるレベル~
レベル0:ロボプロに来る前の何も知らない、何もやっていないとき。
レベル1:「ロボットを体験する」レベル。知識や情報を知る。書かれている通りにやる。(組み立てマニュアル、「やってみよう」レベル)
レベル2:「ロボットづくり、プログラミングを自分で考える」レベル。自分で情報を集めて、使って、設問に答える。(「ステップアップ」「チャレンジ問題」レベル)
レベル3:テキストに書いてある以上をおもしろがってやるレベル。やらなければできるようにならない。好きならできる。
レベル4:オリジナルのロボットを作る。
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 残念ながら、最初から「レベル4」はできません。0から順番に1つずつ上がっていくしかありません。
 「レベル0」から「レベル1」,「レベル1」から「レベル2」など、1つ上のレベルをやるには、何をやるか理解して、「心、脳、知識、技術」を整える必要があります。
 私が生徒の皆さんに期待しているのは、「レベル2」です。すべての設問に答えられなくても構いませんが、「考える」をできるようになっていてほしいと願っています。
 「レベル3」は、『学びラボCUP2021』のロボットの例で挙げていることですね。
 ところが、なぜか「レベル1」で満足していたり、あきらめていたり、それ以上の発想がなく、考えるのを止めている人が結構な割合でいるのです。

 あなたは今、どのレベルで、何に取り組んでいるのでしょうか?
 そして、自分のレベル以上の人を見て、「すごいな」「いろいろやっているな」と思って見ていたのでしょうが、結局彼らが何をやっていたか、知っていましたか?

 自分がやっていないこと、自分ができていないことは、知らないものです。
 だから、驚きでしょう?
 「今の自分はここだな」と思ったら、1つ上にチャレンジしてください。

★「レベル1」から「レベル2」に上げる方法
 発想を変える必要があります。
 「レベル1」の人がよく使うことば

    「面倒くさい」
    「教えてもらっていないからわからない」
    「答えを教えて!」
    「スルー(飛ばして、見なかったことにする)」

 「レベル1」程度だと失敗することはほとんどないし、言われたとおりにやるのは楽だし、違っていたら文句を言ったらいいので、とても楽ちんな立場です。
 この発想を変えなきゃいけないのです。「考える」のです。「情報を集めて、使う」のです。
 「レベル1」で、知識や情報はテキストに書いてあります。どこに書いてあるかは、だいたい覚えておかないといけません。ただ、大事なことは何度も説明されています。
 「教えてもらっていない」のではなく、たいていは忘れているのです。忘れることは問題ではありません。「今必要な情報を集めようとしていない」のが問題です。

 「レベル1」は、私が教えること、代わって作ることはできますが、
 「レベル2」は、「自分で考える」しかありません。人にやり方を具体的に教えられてやっても実力はつきません。考えて、試行錯誤しないと。教えられたとおりにやるのは「レベル1」です。
 学校の勉強のやり方に反抗心を持つのも仕方ありませんが、「自分で考える」ことを拒絶してはいけません。
 これが、「発想の転換」です。

★どうしても「情報を集めて、使う(=考える)」ができない人へ
 どうしても「考える」が、できない人がいます。
 いろいろな理由があることでしょうが、根本の理由を見つけ出して、何とかしましょう。「どうせバカだから」じゃないです。これからでも解決できることが何かあるはずです。

 小学校の事例として、「耳が聞こえづらい」「視力が弱い」「黒板方向の色がにぎやかで視覚情報が多く、集中できない」などを聞いたことがあります。
 ほかにも、一般には障害と言われるものを持っている子供がいます。ただしそれは、「今の世の中の多数とは違う」というだけで、「特性」「特徴」「強み」「次の時代の人の特徴」かも知れません。
 補う方法や改善する方法はあるし、もしかすると、世の中の多数の人が発想しないことに気付ける能力かもしれないので、欠点ととらえなくても大丈夫です。

 ただし、次の例もあるので、注意してください。
 ずいぶん以前の話です。ブロックのロボット教室に来ていた生徒が中学受験をすると聞きました。会話は普通にできますし、おもしろいアイディアを思いつくことができます。とてもできる生徒でした。けれど、ロボット教室のテキストの「考える」問題に取り組むことをとても嫌がりました。学校の成績も極めて悪かったようです。
 5年、4年、3年、2年と、学年をさかのぼりながら簡単なテストをしていったら、時計を読むことや、残り時間を計算するなど理解できていませんでした。その理由は、学校で時計を勉強するときに病欠していたからだそうです。そのころまでは、「天才」「神童」とみんなから言われていました。
 病気が治って後、誰も責任を持って教えて、理解したか確認しなかったし、本人もプライドがあるので教えてほしいとも言えずに抜け落ちたままでした。1つつまづいて、直接関係なくても後のカリキュラムの内容がすべてわからなくなっていたようです。
 こういう時に学力を取り戻す方法は、「時計」の少し前までさかのぼり、順番に学んでいくしかありません。高学年になればなるほど、思い切って学年をさかのぼってから上げていく必要があります。
 プライドが高いと、これができません。受験が近いなど、気が急いてもこれができません。まさに「急がば回れ」なのですけれど。

 もし、ロボプロで「情報を集めて、使う(=考える)」がどうしてもできないのであれば、以上のような例もあるので、適切な対処をしたほうがいいですね。

★「レベル2」から「レベル3」に上げる方法
 好きでロボプロに来て、自分で考えていたら、放っておいても「レベル3」のことをはじめそうですが、ことばにしておきます。
 おもしろがることです。興味を持つことです。「教科書に書いてあることを全部読んで全部理解し、全部覚える」という話ではありません。「自分が興味あること、自分がやりたいこと、関係あることを探求する」ということです。
 USJなどの遊園地やゲーム機は、おもてなしして楽しませてくれます。でもそれは、「お客さん」として遊ばせてもらっているだけです。
 「レベル3」の「おもしろがる」「興味を持つ」は、遊ばせてもらっている立場の外に出ることです。ロボットを机から床に落としたら、自分で拾い上げないといけないし、壊れたら自分で直さないといけません。その前に、机から落ちないように、自分が注意しないといけません。机から落ちないロボットが完成するまでは、センサーやプログラムの調整途中で無数のロボットが落ちています。落ちても壊れないように、身体を張って拾いに行きます。ロボットが壊れたら、直せばよいだけです。これが「レベル3」です。
 「レベル2」までは、テキストに書いてある問題に答えました。「レベル3」は、自分で考えて、動かしてみて、「どうしたら、どうなったのか?その理由は?」を自分に質問して、自分で答えるのです。
 それを繰り返すと、結果として自分の思い通りに動かせるようになるので、『おもしろい』となります。
 「レベル2」から「レベル3」に上げる方法の直接の答えを書いていませんでした。「おもしろがって、興味を持って、やってみる」のです。「壊れたら、自分で直す」という気持ちを持っているのは当然のこととして。

 学校の成績が良い人でも、「レベル3」が苦手な人がいます。問題を出されて、解答することまでの発想しかないのでしょう。
 でも、そういった自分の殻を破る練習をロボプロの時間にしてもらってもうれしく思います。

 ここまで書いてきましたが、
 私がロボプロに来ている人に期待するのは「レベル2」以上ですが、その前に。
 君が今の自分がどのレベルで、どのレベルでロボプロをやっていきたいかを、自分が知ることです。それを自分でわかったら、行動や考え方が変わってきます。
 それがどのレベルであったとしても、私は最大限応援します。

※追伸:以上はロボット教室の話題に限定していましたが、学校の勉強も同じです。

(学びラボ 若狭 喜弘)

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