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【数字を使うルールを知ったら、腕が伸びる】

category : コラム, 勉強する 2021.8.30 
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[8月に発送した便りです]

「ロボットやプログラミングなら自分にできそうな気がする。おもしろそう」
「思い通りに、ロボットを動かせるようになりたい」

と、はじめたころの自分を思い出しましょう。
そして、何を経験してきたか、いま何をどれだけできるようになったか、指折り数えて自信を持ちましょう。

【数字を使うルールを知ったら、腕が伸びる】

 「ロボットとは、自分(人間)が考えた動きを上手によい加減で動くようにプログラミングした機械」です。

 だから、プログラミングの「正解」は、自分が決めたらいいのです。

 数字について、最近気づいて、とても感動した話からはじめます。

「数字って数えられたら、数えられるものが何であっても、同じルールで扱える。(ルールというのは、小学校で学ぶ算数から、大学や研究者の数学までいろいろある)」
「数字になったものは、これからどのように変化するか未来を予想することもできるし、自分で未来を計画したり設計したりして創ることもできる」

 って、すごい発見だと思ったのです。

『数の話』
 リンゴは、1個、2個と数えます。ミカンも1個、2個と数えます。数学でいうと、1、2と数えることで同じです。
 人間は、1人、2人と数えます。カブトムシは、1頭、2頭と数えます。数学でいうと同じく1、2と数えるので同じです。
 長さを、1m、2mと数えます。重さは、1g、2gと数えます。これらも同じく、1、2と数えます。(ただし、長さと重さは小数点以下もあって連続しています)
 音や光の波の数(周波数)は、1Hz、2Hz(ヘルツ)と数えます。パソコンのハードディスクの容量は、1byte、2byte(またはB、バイト)と数えます。
 どれも全部数字なので、1,000集まると「k」をつけて表します。リンゴやミカンは1,000個で1k個。人間は1,000人で1k人。長さは1km(キロメートル)、重さは1kg(キログラム)、波の数(周波数)は1kHz(キロヘルツ)、ハードディスクは1kbyte(またはkB、キロバイト)と表します。
 数字は、全部同じ法則で表せます。コップの水の中の分子の数も、宇宙の星の数や距離も。

 数字を多く集めると、パターンが見えてきます。
 1,2,3,4,・・・のように隣との差が一定の数字。1,2,4,8,・・・のように隣の倍といったものもあります。
 実際の数字の例では、新型コロナウイルス新規感染者数が日付ごとに増えたり減ったりする様子や、最近100年間の地球の毎年の平均気温の変化もあります。表をグラフにしたら直感的に理解しやすくなります。
 国別の人口を一覧表にしたり、合計したり、毎年の変化を見る[統計]というものもあります。学校の教科ごとのテストの点数を順番に並べた時の[偏差値]も私たちに身近です。
 高校で学ぶ[微分][積分]は、たとえば「ボールを転がして止まるまでを式にして予測する」ときに使えます。

 数学は、物理や化学を上手に表して、観察したことを理解したり、予測したりするために必要なので発展してきました。
 最近は、社会のこと、日常のことを知るために、数学(特に「統計」)が活用されています。

 このように、数えること、計算することは身近にあります。数字の「1」は「1」だから、どれも同じルールで足し算、引き算ができます。
 数え方、数字の扱い方を覚えたら、ほかのことにも使えます。1回「わかる」と、いろいろな場面で使えるので、「1粒で何度でもおいしい」ですね。

 1人の人間と1頭のカブトムシの数を足したら、「2」です。中にはそう言われて「モヤモヤ」する人がいるかもしれませんが、単位が同じなら足してもいいのです。この場合は、「命の数」「頭の数」と考えましょう。このように、計算するときには「単位」が大切で、「単位をそろえる」よう計算式を考えていきます。

※『算数や数学』のことを、「計算すること」と思っている人がいるかもしれません。
私は違って、「絵を描くこと」「場合によって分類すること」そして、その結果を「式にすること」「グラフを描くこと」と考えています。
計算自体は、簡単なものは電卓がしてくれます。今も昔も、紙に書きます。
最近は、「ホームスピーカー」に算数の宿題の答えを言わせる小学生の話も聞いたことがあります。
表の形の計算は、コンピュータがとても得意です。
人間がするのは、コンピュータに計算させる前の準備と、その結果が妥当かを調べるのです。

『単位の話』
 先ほど、「単位をそろえる」と書きました。数学は、学生や生徒に計算させて苦しませるものではなくて、物理や化学で使うための数字の使い方のルールです。ですから、単位を同じにしなければいけないのです。計算だけだったら、電卓やコンピュータがずっと早く正確に済ませます。
 たとえば、1人の人間と1mの布は、足して「2」ではありません。1人の人間と睡眠時間8時間を足して「9」ではありません。
 ロボット作りは物理だから、足していいものしか足したらいけないのです。足していいか判断するキーワードが「単位」と「位取り(桁)」です。
 私の大学の実験での経験です、ある計算をしていて最後に出てきた数字に違和感を感じました。式をチェックしていくと、単位を同じに計算し忘れていて、違う単位のものを足していました。
 別の時には、計算結果が100~500くらいになるはずが、1.3といった数字の桁が違うものが出てきたときにはあせりました。途中で位取り(桁)を間違えていました。

※「位取り(桁)」の話。最初の方で、「1,000をk(キロ)とする」と書きました。パソコンのハードディスクなどでは、それ以上1,000倍ごとに、M(メガ)、G(ギガ)、T(テラ)と続きます。kの下は、1,000分の1ごとに、m(ミリ)、μ(マイクロ)、n(ナノ)、p(ピコ)と続きます。それぞれ1,000倍ずつ違うので、kの数字とMの数字をそのまま足してはいけないのです。ダイエットしている人が、食事のカロリー量を本来kcal(キロカロリー)というところをcal(カロリー)と言っていました。本当にそうなら、「誤差」のようなものです。

『数学はパターンを知れば覚えることは少しで済む』
 ロボプロコースに通ってきてくれているみんなのことを思います。
 今、ロボプロコースも学校の勉強も、「出てきたものを解く」としている人が多いと思われます。
 そうなると、「足すか引くか、掛けるか割るかしたらいいんでしょ?」だし、「毎回すべて教えてもらわないとわからない」し、「とにかくその問題が終わればいい」し、終わったら「終わったのでそれでいいや」というサイクルになってしまうでしょう。

 学校の義務教育の期間は、ロボプロコース1年目と同じで、数字や数学にいろいろなパターンがあることを広く浅く知るのがメインになります。「あれで浅く?」と思う人がいることでしょう。あとから考えると、単に計算方法を練習していただけだと気づくのです。
 パターンの種類が多くて、やらされている感覚があって、あきらめかけている人がいるかもしれませんが、基本的なルールは簡単なことです。
 「勉強」の時間だったら、先生はこう言うでしょう。「ルールをしっかり理解して覚えましょう」。どの教科もすべてそうだし、反論ができません。でも、言われて簡単にできたら苦労しません。だから、「勉強嫌い」というか、「やらされ勉強嫌い」を作ってしまいます。
 一人一人理解のパターンは違うし、「自分で発見した時は強い」ので、ロボプロコースで私は「ルールを自分で発見しましょう。そして受け入れましょう」「テキストに書いてあることをおもしろいと思わない?」と声をかけているのです。

『ロボプロコースでは』
 「数学の問題を解かされる」と思うから、「面倒くさい。出題者が満足する答えを教えてよ」となるのです。
 ロボプロコースでは、自分で計算して計算結果をプログラムに入れて使うことがあります。「自分のロボットのために、何を計算しなきゃいけなくって、それをどう使う?」と考えたら、自分のことになるのです。自分が計算できることを、先生に教えてもらうのを待っている必要はありません。「計算のやり方」「考え方」が間違っていないか、先生に教えてもらったり、チェックしてもらうのが、先生の正しい使い方です。
 自分で考えたら、理解が早くなるし、直感が働くようになります。

 ロボット教室の時間をどう使ってもらっても自由です。どんな人生を選ぶか、生徒の君たちが思うままです。だから、自分でルールを発見していくような時間を過ごしたら、有意義だと思うけどなあ。
 そのために、私がいるのだし、ヒューマンアカデミーがあるのだから、みんなが自分のために私たちを使ってくれたらいいと思うのです。

 『実力がアップする「勉強の仕方」「考え方」を教えます』というと、抽象的だし秘伝の技のように聞こえますね。そんな特別なものじゃありません。具体的に書くと、「何と何を考えたら、答えに近づけるか」「考えるときに何と何を持ってきたらよさそうか」の勘が働くように、考えるトレーニングをロボプロコースの時間にしてはどうですか、という提案です。もちろん、家でも、学校でもロボプロコースのことを考え続けてもらってもかまいません。そして、それらを生徒の君たちが、一人一人自分なりのルールやパターンを発見して欲しい、と願っているのです。

『ロボプロコースの数学はデジタルも』
 数えるものは違っても、数字の性質は同じです。ですから、ロボプロコースのテキストでは、特に伝えたいことがロボットやプログラミングなので、数字の性質の説明は1回のみです。
 たとえば、1年目の夏ロボットで出てくる、10進数、2進数、16進数は、ロボット作りやプログラミングする人にとって使う場面は何度もあります。説明は1回のみですので、今後必要になったら読み返しましょう。今の段階では、少なくとも数字の性質をおもしろがってもらえたらうれしいです。
 2進数は単なる数字や数学だけの話ではありません。ロボットのプログラムを考えるときにはデジタルです。でもLEDを光らせるといった現実のもの(リアル、アナログ)でもあります。LEDをデジタルで考えると、「1」のときに光って、「0」のときに消えます。プログラムや計算の中だけの話ではなく、LEDが光る「1」という数字を計算できるって、ゾクゾクします。一所懸命計算して考えたら、複雑なこともやらせることができるのです。自分の腕が伸びたような感覚です。
 こういった腕の伸ばし方を知ってトレーニングできる場所の一つが、通ってきてくれているロボプロコースです。

※数学の話は、もっといろいろあります。本やインターネットに情報はたくさんあるので、興味を持ったところについて調べましょう。おもしろい話、「それはそう。なんでかな、と思っていた」という話などと出会えることでしょう。
 学校の勉強が、「効率的に、必要最小限の知識を教える」となっているので、それ以外の自分の興味からの勉強は、ゆったりとしたらいいと思うのです。

(学びラボ 若狭 喜弘)

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