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【ドローン・サッカー】

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[1月に発送した便りです]

 学びラボ ロボット教室の生徒はみんな知っているけれど、はじめたての人や来ていない人が知らないことは、
●「学ぶ」とは、教えてもらうことではなくて、自分から理解しに行くこと。

●ロボットを作るときにやっていること。
①テキストにはロボット作りのすべてが書いてあるのでじっくり読む。
②順番に考えて、一つ一つ試して、自分の知識や能力を積み重ねていく。ロボットの動きの順番も考える。「適当に」では作れない。
③式を計算することが苦手でも逃げない。国語、算数・数学、物理(理科)が必要。
④簡単にできることだけをやっていないで、少し難しそう・面倒そうに見えて避けていたことにチャレンジする。楽しむ。

【ドローン・サッカー】
 去年(2022年)末ごろに「ドローン・サッカー」というものがあると知りました。
 ドローン・サッカーは、ドローンを選手にしたサッカーです。チームを組んで対戦します。以下、大まかな様子です。チームの人数分のドローンを飛ばします。バスケットボールのゴールくらいの高さに、ドローンが通り抜けられるサイズの穴が開いた輪(ゴール)をぶら下げます。チームで戦術を考え、攻撃中心、防御中心など役割担当を決めて、自分たちのチームのドローンが相手ゴールを通り抜けた数を競うものです。
 ドローンは、網目が大きい台所にある水切りザルのようなカバーを上下からかぶせて、ボールの形になります。昔ながらの扇風機の頭の部分だけ、と言った方がイメージしやすいかもしれません。カバーがあるので、人や室内の物に当たっても怪我したり壊れたりすることはありません。
 飛ぶのはドローンなので、操縦するのに年齢は関係ありません。障害ある人も障害の程度に関係なく同じ立場で戦える競技です。競技は室内で行うので免許不要です。
 (正式なルールは、公式サイトをご覧ください。
  日本ドローンサッカー連盟 https://japan-dronesoccer.com/

 学びラボ ロボット教室でも、ロボプロコースの授業がないときに、サッカーの地域クラブチームのような活動をするのもおもしろいかも、と考えました。

 「期待を盛り上げるだけ盛り上げといて、落胆させる」といけないので最初に結論を書いておくと、今のところは開講しないことにしました。
 一番の理由は、「操縦技術だけに目が行くおそれ」を感じたからです。つまり、ドローン・サッカー専用機なので、センサーなどを使って自動で飛行するシステムを受講者がプログラミングするようには今のところなっていません。「自分でプログラミングして、ドローンをコントロールする」こういった内容もできたらいいのですが。
 ほかには、
・指導者には、ドローンの操縦資格や技術が必要そうだ。
・会議室では狭いし、安全のため体育館が望ましそうだ。
・設備をセッティングする手間がかかりそうだ。
・一式揃った一人分のスターターキット(ドローン付き)が24,000円。教室で数セット用意する必要がある。修理パーツ代が高そう。
・日々の活動は、部活の方が合っている。(毎日練習。家で自主練。部活の日に教えあう。チームプレイを考えて練習する。対戦相手が必要。など)
・試合で勝つこと、操縦や修理が上手になることが関心の中心になる。
・本講座修了後に、ドローン国家資格を取るためのカリキュラムがあると望ましいが、対応できない。

 などが気がかりな点です。
 もし、学びラボ ロボット教室で採用するとしたら、「飛ぶ仕組みの理解」「自動飛行のセンサーとプログラミング」をしっかり学ぶカリキュラムができてからですね。
 使うドローンも、できるだけ一般のパーツを使って、組み立てながら、途中の段階でもそれだけでできる範囲で科学や技術を学べるといいですね。さらに、完成したドローンは、ドローン・サッカーで使える性能レベルとしたいものです。(公式戦にはオートバックスセブンが販売する公式機体しか参加できないようですが)

 私が学びラボ ロボット教室を開講しているのは、ロボプロコースのカリキュラムが「操縦してだいたい思うとおりに動かして満足して終わり」で終わっていないからです。
 高専、大学などのロボコン(ロボット・コンテスト)は、課題を与えられて、大会で勝つことを目標にして進めていきます。
 そのやり方での学びが合っている人はそれでもいいのですが、自分にとって手間がかからずできることしかしない人が出てきます。ロボット教室に来たからには、科学や技術、プログラミングの基礎的なことを知って、学ぶポイントを感じ取って、具体的なやり方を身につけ、自分に合ったやり方の見つけ方に気づいてほしいと思っているのです。

 そして、「作る人(設計する人)」になってもらいたいのです。
 単なる「使う人」になるだけだったら、マニュアルを簡単に読んだり、操作してみたり、周りの知っている人に聞けばいいのです。
 「作る人(指示されたとおりに作業する人)」だったら、マニュアルをしっかり読んで覚えて、確実に実行するだけです。
 「作る人(設計する人)」になるには、いろいろなことを知って、経験して、調べ方を身につけて、見つけた情報の確からしさを判断して、誰もが間違いなく作れるように、使えるように設計する必要があります。
 大学などの研究室の実験や測定の機械を作るのだったら、極限まで精度を上げたものを使ったり、各パーツの寿命を考慮したりします。
 食事の時も、風呂に入っているときも、作りたいものを考え続けています。

 「作る人(設計する人)」になるには、「正解を教えてもらう人」ではなくて、「正解を自分で見つける人、決める人」にならなきゃいけなくて、「自分の頭で考える人」「やってみる人」「結果からもっと良い結果になるよう考える人(理論との違いをわかる人、失敗から学ぶ人)」ということです。
 学びラボ ロボット教室のロボプロコースは、これらの初歩をマイペースで経験できる場所です。学校の授業や家、学習塾ではなかなかできないことです。
 と私は自信を持っていますが、そのつもりで時間を過ごしているでしょうか?
 少なくとも、「学校の授業や家、学習塾とは違うことをやらせようとしている場所のような気がするな」と感じてもらえていれば、まずはかまいません。
 このやり方の方が絶対におもしろいのだから、考え方を受け入れてやってみてください。

 今回は、1年の最初に目標を立てることについて書こうかと思っていましたが、今回の話の流れの中で、一つ質問します。

 「使う人」「作る人(指示されたとおりに作業する人)」「作る人(設計する人)」
 このうち、あなたはどの人として生きたら充実した人生になるでしょうか?

 「楽そう」「めんどくなさそう」という基準で選ぶ人はこの文章を読んでいないでしょうが、「やりたいことのために、多少大変なことくらいはやってやる」と思って選んでください。
 「教えてもらって、なれたらいいなあ」じゃなくて、自分で計画を立てて、本を読んで理解したり、練習したり、行動して「なる」のです。
 定期テストがないときは、予習・復習を効率的にやって終わらせて、「やりたいこと」にもっともっと集中して取り組んでほしいなあ、と思います。

 「予習・復習を効率的にやって」と書きました。
 学びラボ ロボット教室の1年目の「リンクロボット」は、最初は組み立てるのに必死でした。時間もとんでもなくかかりました。けれど、ネジが外れて組み直すことを何度もやっているうちに、間違いなく、早く、確実に動くロボットを組み立てられるようになりました。
 考えて、何度もやって、工夫していけば、自分だけの方法かもしれないけれど、効率よくできる方法が見つかります。
 同じことは、勉強法もそうです。「面倒だな」と思ってやらない時間がもったいない。何度も繰り返してやっていると、工夫できることが見つかり、慣れて、早く、確実にできるようになります。
 考えること、何度もやることが大事です。
 「やりたいことをやる」1年にしてください。
 相談に乗ります。応援しています。

※ドローン・サッカーについてふたたび:
 ドローン・サッカー用のドローンを教室で買うなら2セットから。約5万円です。操縦してみたい、とは思うのですけれど。まずは、スクールをやっているところの体験会(有料)に行ってみようかな。

(学びラボ 若狭 喜弘)

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