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【中学校で文系・理系を選ぶ?】

category : コラム, 勉強する, 人生を考える 2023.3.24 
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[3月に発送した便りです]

 学びラボ ロボット教室の生徒はみんな知っているけれど、はじめたての人や来ていない人が知らないことは、
●「学ぶ」とは、教えてもらうことではなくて、自分から理解しに行くこと。

●ロボットを作るときにやっていること。
①テキストにはロボット作りのすべてが書いてあるのでじっくり読む。
②順番に考えて、一つ一つ試して、自分の知識や能力を積み重ねていく。ロボットの動きの順番も考える。「適当に」では作れない。
③式を計算することが苦手でも逃げない。国語、算数・数学、物理(理科)が必要。
④簡単にできることだけをやっていないで、少し難しそう・面倒そうに見えて避けていたことにチャレンジする。楽しむ。

【中学校で文系・理系を選ぶ?】
 最初に。あまりに単純に区分して、「良い悪い」と判断できません。本来一人一人、個別の内容について考えないといけないことなので、「○○した方がいいですよ」とも言いにくい話です。

 学校で学ぶ年齢の時に学校で学ぶのは意味があることです。
 学校には学校の意図があるし、生徒の家庭には家庭の考え方があるし、生徒には生徒の考えや感じていることがあります。
 さらに生徒には、できること、簡単にできること、やりたいこと、好きなこと、器用じゃないけれど好きなこと、好きでないけれどやらなきゃいけないことなどがあります。

 と考えていますが、「今の時代にまだそんなことをやっているの?」と感じることに出会うこともあるので、正解ではないけれどツッコミだけしていきます。

1.文系・理系を選ぶ
 私の高校時代の経験では、3年生で文系・理系に分かれました。
  ■文系:国語、英語、社会、■理系:数学、理科
 文系・理系を選ぶと、これらの授業時間が多かった記憶があります。
 (実際には、国公立大学コースと私立文系コースだったような)

 大学入試の受験科目に合わせた区分です。勉強する教科を絞るのは合理的です。でも、教科書に書かれていることは、最近よく言われる「エビデンス(証拠)」が確かめられているものです。入試のために、教科書に書いてあってもまだ学んでいない知らない世界を学ぶ機会を捨てるのはもったいないですね。
 そして、入試対策も大事だけれど、大学入試までを考えるのではなくて、大学での学び方や学ぶときに必要な力の例を示してくれたらいいのに、とも思います。
 大学などで学ぶときに「論理的に考える」のは、文系・理系問わずに必要です。国語、数学の両方が関係します。「論理的」とは、条件や場合をすべて考えて、それぞれに自分の結論をつけることです。
 大学で文系の分野と言われている経済学や心理学は、数学やコンピュータ演算(プログラミング)、データ分析が必要です。法学も、覚えるのも大切ですが、法律や判例を検索して論理的に考えて使っていくことも求められています。
 理系の分野の学科でも、外国語の教科書や文献をきちんと読んで、論理的に理解していく必要があります。
 今年(2023年)になって急に話題になることが多くなったAI(チャットGPTなど)をどのように使っていくかも大事になってくるでしょう。もっともらしく見えるけれど事実でない答えをどのように見極めるか、といった、文系・理系の両方に関係することが増えてくると予想されます。
 大学もゴールじゃなくて、自分が何をするために何を学ぶか、そして学校を卒業した後で何をしたいかが大事です。入試だけで文系・理系を選ぶ必要性はどれほどあるのでしょうか?

 これらも論理的に考えています。
 論理的に考えるのを「面倒くさいから 止める」ではなくて「自分がやりたいことだから やる」のです。

2.中学校で、文系・理系を選ぶ
 文系・理系を選ぶのがそれほど意味があるとは思えないけれど、それを中学校で選ぶのはさらによくわかりません。中学校までの義務教育で学ぶことは、社会で生きるために全部必要です。なのでおそらく、文系・理系を選ぶよう求める中学校は、中学2年までに中学校の内容のすべてやった上で、中学3年生の時に学ぶ高校の内容を文系・理系のクラスで変えるためにコース分けをするのでしょう。
 小学校までは全員100点を取れる授業をしています。中学校は全員がわかることを願って授業するけれど、得意・不得意があるから全員に同じ授業をしても試験の点数に差が付いてしまいます。
 点数は結果です。生徒の立場では授業やテストの点数から、「できること、簡単にできること、やりたいこと、好きなこと、器用じゃないけれど好きなこと、好きでないけれどやらなきゃいけないこと」といったことを考えます。
 「できること」よりも「やりたいこと」「好きなこと」が大事なのに、文系・理系を選ぶとしたら、「点数が取れている できること」を選ぶしかなくなります。

 子供に選んでもらえると、大人は評価をして後押しすればいいだけなので、楽になります。点数も判断基準としてわかりやすいです。
 本当はよくないことなのだけれど、大人は子供の目標やそのためにやることを決めたがります。それが決まると安心なので。
 本来は、生徒自身が「考えて決めて、悩んで別の道を考えて」を繰り返す必要があるし、それをはじめる年齢はいろいろです。
 一旦考えて決めて、しばらくしてから考え直せばいいのだけれど、本人が決めることを望んでいないのに決断させるのは、あまりいいことではないように感じます。
 ただし、もっと小さなころから自分の責任を持たせて、選ばせることをやっていたら、中学生の進路の決断も早くはないとは言えますが。

3.土曜日の授業
 中学3年間分を2年間で終わらせて、3年生から高校の授業をするのはその学校のウリです。そのために土曜日にも授業するのはありです。
 私の子供時代は、土曜日も授業があったので、あまり違和感はありません。私は公立の中学校なので、中学校の内容を中学校で学んでいたのですが。
 子供自身にとっては好ましくなりませんが、10代のころに多くの内容を詰め込んで覚えるのは効果的ともいわれているので、土曜日に授業がある学校を選ぶのもありでしょう。

4.土曜日、日曜日の部活
 集中して練習したり、対外試合のための遠征は、授業がないときの方が望ましいので、土曜日、日曜日が部活の日になるのは仕方がないことです。
 私の子供時代からしばらくは、荒れた学校では夕方や休みの時に繁華街をふらつかないように強制的に部活に参加させることもあったようです。
 その部活が好きだったらいいのですが、部活の後で塾に行くとか、家の用事で休みにくいとか、ロボット教室などの習い事に通いにくいとかの話を聞くと、本人が納得していたらいいけれどそれでいいのかなあ、とも感じます。
 部活については、先生が顧問や部長をしないといけないか、学校でやる必要があるかなど、今まで無理していたことが問題だったと話題になっています。どうするのがいいのでしょうか?当事者としてどう考えますか?

おわりに
 正解がないツッコミを書いてきました。
 どれも意味があるし、良かれと思ってのことだとはよくわかるのだけれど、それでいいのかなあ、という思いが残ります。
 多く話したことがあるのはロボット教室に来る子供たちです。みんな、受け入れて、自分で考えて、行動しています。健気だなあ、と感じています。

 子供時代に経験してほしいことは、
  ・自分が好きなこと、やりたいことに気づく。
  ・選ぶ場面では、自分も一つは選択肢を提案する。
  ・一番いいと思うものを選ぶ。
  ・毎日練習し続けられて、上手になりたいと思うものを選ぶ。
  ・選んだことが違っていたと気づいたら別のものを選び直す。
  ・そのことを結果からとやかく言われない。
 子供時代に身につけてほしいことは、論理的に考えることです。

 今回書いた「文系・理系を選ぶこと」や「土曜・日曜に授業や部活があること」と共存できるはず。「子供時代に経験してほしいこと」をあきらめないといけないとしたら、間違っています。
 ポイントは、「若いうち、問題が小さいうちに、自分が選んだことで失敗を経験すること」です。
 一人一人全然違うので正解はないのですが、ロボット教室に来てもらった縁があるので、生徒のみんなの人生に役に立つ子供時代を過ごしてもらいたいなあと願っています。

「学ぶ」について余話
 何歳になっても、働いていても、定年になってから後でも学ぶものです。新しいことを学ぶ人は大勢います。「正しいことを教えてもらう」のだけが学ぶことではありません。いろいろな人の意見や考えを聴いたり読んだりして、今の自分の責任で選ぶのも「学ぶ」です。考える力と習慣をつける、客観的な判断をする力をつけるのが「学ぶ」です。それらを発表することも「学ぶ」です。教えることも「学ぶ」です。
 教室の席に座って試験のために覚えたり答えの出し方を覚えるのを想像したら学ぶのがイヤになるでしょうが、「学ぶ」のは自分のために必要だし、楽しいものです。
 大人が楽しく学んでいる姿を見せないと、子供としては「学ぶ」にポジティブな気持ちを持てないですね。でも、学ぶことは楽しいことです。楽しんで学びましょ。

(学びラボ 若狭 喜弘)

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