[11月に発送した便りです]
学びラボ ロボット教室の生徒はみんな知っているけれど、はじめたての人や来ていない人が知らないことは、
●「学ぶ」とは、教えてもらうことではなくて、自分から理解しに行くこと。
●ロボットを作るときにやっていること。
①テキストにはロボット作りのすべてが書いてあるのでじっくり読む。
②順番に考えて、一つ一つ試して、自分の知識や能力を積み重ねていく。ロボットの動きの順番も考える。「適当に」では作れない。
③式を計算することが苦手でも逃げない。国語、算数・数学、物理(理科)が必要。
④簡単にできることだけをやっていないで、少し難しそう・面倒そうに見えて避けていたことにチャレンジする。楽しむ。
【タイパって何だろう?】
あくまでニュースになっていることだから極端な話なのでしょうが、今の学校の話題を聴くと、このような印象を持ちます。
学校には、バラバラの向きになった鉛筆をそろえて箱に入れるイメージを持ちます。それらの鉛筆は、どれから使っても、交換しても同じように使えることが目標になっている気がします。
でも本来学校は、大人社会が子供たちのために学ぶ場所を作っているだけです。
子供が、誰かの役に立つために揃った学力を身につける場所ではありません。
バラバラな興味、関心、能力を持った子供たちに対して、
「学ぶ楽しさを体験できる場を作る」
「社会で生きていくのに必要な最低限のこと(と必要なこと)を伝える」
「学びたいときに、学びたいことを、学びたいところで、一人一人に最適な方法で伝える」
をするのが学校です。子供たちと一緒に考えていけば、それほど難しいことではありません。
最近は、「教育」ではなくて「学習」の視点が重視されてきています。「教育」は先生が生徒に教えること、「学習」は生徒が自分で学ぶことです。「学習」が学びの基本ですし、そうでないと「自分で答えを出す人たち」になるよう育てられません。
最初の話に戻ると、
「いろいろ多様な子供たちが集まってきた学校で、その多様さを学習に生かして、最低限のこと(と必要なこと)を身につけさせたうえで、自分に合った学び方に気づかせて送り出す」
のが学校です。校長先生が率先してやれば公立校でもできることが多いそうです。学校でこれを実行するには、もちろんほかの先生方にも動いてもらわないと実現できませんが。
ロボット教室も子供たちが「自分で答えを出す人たち」になれるようサポートする場所の一つとしたい、と考えています。
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タイムパフォーマンス(略して「タイパ」)とあちこちで聞きます。効率化とほぼ同じ意味です。「無駄な時間を過ごさない」「やりたいことに時間を使うために、大事でないことは短時間で終わらせる」のは、悪いことではありません。無駄なことをするのも、生きていくために必要なすき間なので、0にしない方がいいのですが。
同時に学びの役に立たないタイパもありそうなので考えてみます。
ほんの1例です。自動車メーカーのトヨタの工場で、作業している人の後ろでストップウォッチで測って無駄な動きをチェックして動き方を変えたり、探し物をしないように物を置く場所、数を決め、使い終わったら必ず元のところに戻すなど仕組みを作って「効率化」しています。
スーパーでは、商品を読み取るレジとお金を払うレジを分けて、読み取るところだけを人がやっていることがあります。商品が入ったかごをレジに置くと、何もしなくてもマイクロチップの情報を読み取って計算してくれる店もあります。
効率化した方が、「間違いが少なく」「時間が短縮化して」「価格を安くでき」ます。
このレベルの仕事では、「誰がやっても同じ」で、「決めたとおりに間違いなくでき」て、「1個当たりの時間を減らしてたくさん作れるように」して、「価格を安くする」ことが目的です。商品開発やお客さんのところに行ったり、安全のための仕事、社員の健康を管理する仕事は価格を安くすることには直接関係ありませんが、「間違いを少なく」「時間を短縮化する」するために効率化は役立ちます。
ご両親がみんなを子育てするとき、やることがいっぱい過ぎて寝る時間が取れなくなることがあります。そんな時は「効率化」して、必要なことだけして、あまり必要でないことは止めてしまうことを選ぶ場合もあります。これも、「タイパ」「効率化」です。
学校に行っている10代前後のみなさんが言う「タイパ」って何でしょうか?
効率的にして、タイパよくして、その目的は何でしょうか?余った時間を、やりたいことのための勉強や探求に使うのだったらいいですね。
オンデマンド授業では3倍速で再生して観たり、結論を言っている最初か最後だけを観る人もいるようです。(オンデマンド授業とは、サーバーに置いてある授業動画を、生徒が都合良いときに観る授業のこと)
「自分で考えて答えを出すよりも、正解を教えてもらってそのまま写すとタイパが良い」と考える人もいるようです。「わかりやすく、正解だけ教えて欲しい。」「歴史上の人物などの善悪の評価の結論だけ教えて欲しい」「目の前のテストなどが無事過ぎればそれでいい」という考え方も。
「考える」のは、時間も心の負担も大きいので、「タイパを良くしたい」と考えたくなります。そういう人にとって、「考える」とは、「ほかの人とそれほど違わない答え」を探すことでもあるようです。ともかくそれらが早く手に入ることを「タイパがいい」と言っているようです。
人から頼まれたことや作業であれば、当然の考え方です。(当然ではあるけれど、それでいいの?という問いかけです)
イメージですが、人が「タイパ」と言うときには「面倒くさいことをやりたくない」「考えたり、手を動かしたりしないで済むよう」「自分が楽するためにほかの人に何かをやってもらう」のとつながっている気がします。
勉強は、時間がかかるものでタイパの対極にあります。資格を含めたテスト対策は効率化できますが、誰もがよくわかっているように、「あ、わかった」と感じること、理解すること、使えるようになること、勉強するには自分がやらないといけないし、時間がかかります。
・面倒くさくても、やる必要があることはやるのです。
・これまで考えたことがないことでも、考えるのです。
・今の実力で簡単にできることだけでやろうとしないで、チャレンジするのです。
・やらない言い訳、できない言い訳を考えている時間があったら、実際にやってみるのです。
・自分が興味を持っていて実現したいことに結びつけて考えるのです。
自分のためにタイパを良くしましょう。
自分がついやってしまっている無駄を省く「効率化」や「タイパをよくする」ことを考えましょう。自分の力を生かす一番の方法は何でしょうか?
例えば、
・漫画、テレビ、ゲームを片付ける。
・集中できる時間を決めてアラームをならす。(30分集中10分休憩を繰返す)
・考えたことを頭の中でこねくり回さずに紙に書く。
・関係しそうなところに付箋を貼っていつでも読めるようにしておく。
などいろいろあります。
・自分の目標や目的を知って、決める。いつも思いだす。
ことも大切です。自分のために自分に最適な方法を考えてあげましょう。
自分がおもしろいと興味を持って実現したいことのためにがんばりましょう。
学びラボロボット教室も応援しています。
余話:「タイパ」の発想でしょう、最近は検索結果を一つしか見ない人がいるそうで。
近年、検索すれば情報が出てくるようになりました。だから、「勉強して覚える」ことはそれほど重要ではなくなりました。けれど、自分がやりたいこと関連は覚えないといけません。関連付けて理解するときにも必要です。新しいアイディアを思いつくには知識を組み合わせることも一つの方法なので、記憶しておくことは大事です。自分のアイディアを人に話す時には、覚えているのは当然で、本当に理解している必要があります。
また、検索結果や人に教えてもらった情報にフェイク(嘘)が大量に混じってくる未来が予想されています。嘘かどうか判断できる程度の知識を持っておかないと、判別できません。今の自分のためであるし、正しい事実を未来に残していく自分のためです。
(学びラボ 若狭 喜弘)
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