【承認する】

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 コーチングでは、「質問する力」の前に『承認する力』が大切です。
 子育て、生徒育てなど、
 相手の力を引き出すコミュニケーションでは、すべて大切です。

 日本ではあまりなじみがないか、誤解されていると思われることが多い、
 けれども人を育てるときに
 一番最初で、一番大事な「承認する」について、お伝えします。

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 例えば、アメリカの少年野球で監督はこんな声かけをします。
 ホームランを打ったら「ナイス・ホームラン」。
 ヒットを打ったら「いいところに飛ばしたね」。
 ライナーを取られても「いい当たりだったね」。
 打ってアウトになっても「前に飛んだね」。「ボールが当たったね」。
 ボールに当たらなくても「思い切って振ったね」。「配給を考えて振ったね」。
 球が怖くて振れなくても「バッターボックスに立ったね」。
 相手が達成したことが些細なことでも一緒に喜びます。

 これが承認です。
 「今できること・できたこと」を他人との比較や評価なしに、
 「ここまでできたことを私は知ってるよ」と伝えることです。

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 自分ができるようになってうれしいことを相手も知っていてくれるともっと嬉しくなるものです。
 大成功した結果をほめることは簡単です。
 そうでないとき、
  「だめじゃないか」とか
  「こうしたらいい」とか
 言いがちです。

 自分の経験を振り返って、そのように言われてやる気が出たでしょうか?
 勉強しない子供を怒鳴ったり、殴ったり、ゲーム機を壊したりしても、勉強しません。
 そんなことでやる気が出るはずありません。
 『承認する』とは、「そのまま受け入れる」ことです。
 勘違しないでください。相手に「服従する」ことではありません。

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 私は小学生対象のブロックのロボット教室の先生もしています。
 心がけていることを書きます。

 やってほしいこと・やってほしくないことを5つくらいリストにしています。それには優先順位をつけています。
 それをまず伝え、いつでも、誰にでも同じ基準で、少年野球の例のように声かけし、時に叱ります。
 授業時間の時間配分を自分で考えるよう促し、決めてもらいます
 自分一人でやり切るように促し、状況を見て生徒の手が2本増えた程度の手助けをします。
 あきらめる癖のある生徒には、その生徒がこれまでできたこと・やってきたことを挙げて、力も経験もあることを伝えます
 手を抜こうとする生徒には「できる人が手を抜いちゃいけない」
 面倒くさがる生徒には「やらない理由を一所懸命考えるよりもやった方が早いよ。な?」
 思わぬミスでロボットが動かない生徒には「らしくないなあ。どうした?」
 と声かけをします。

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 これらの声かけは、
 その生徒を日ごろから観察して、
 その瞬間の状況を見て、
 事実に基づいたことを伝えています。

 こちらが面倒くさがって、
 手を抜いて、
 適当にやってはいけません。

 といったコミュニケーションをしていると、生徒は信頼してくれます。
 話をしてくれるようになります。
 安心して、ロボット作りをして、楽しみつつ自分から学びはじめます。
 創意工夫も出てきます。

 枠にはめ続けられていると思われる生徒は、
 言葉づかいがトゲトゲしかったり、
 自分の気持ちに沿った行動ができるまでに時間がかかったりします。
 今の年齢と同じくらい時間がかかるつもりで承認し続けます。

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 家庭で心掛けていただきたいことをお伝えします。
 まず、①お子さんに「やってほしいこと・やってほしくないこと」のリストをはっきりさせてください。
 最大5つくらい、本当に大事なことを選んでください。
 そして優先順位をつけます。
 どちらも、その時の気分で変えないでください。

 リストの項目が多い場合、
 お子さんの将来を案じてのことではなく、
 自分の見栄を満たすためなのかもしれません。

 ほかの人からのお願いを覚えていられるのは、
 5つくらいまでです。

②お子さんの気持ちをそのまま感じ取ってください。
 その感じ取った気持ちを伝えてください。
 また時には、腹が立つこともあるでしょう。
 自分自身が感じた気持ちを否定したり解釈したりせず、そのまま受け入れてください。
 そして、お子さんにも伝えてください。

③そのほか、あいさつする。
 名前を呼ぶ。
 話を最後まで聞く。
 話を聴くときや話すときには足のつま先を向ける。
 目を見る。
 ことばにして伝える。
 できたことを見る。
 やろうとしたことに気づく。
 よく観察する。
 変化を見逃さない。
 「普通」にできていることに驚く。
 自分が約束をする。
 約束を守る。
 相談する。
 頼む。
 なども承認です。

 承認すると、相手の心が自由になって力を引き出せます。
 すると、不思議なことに自分の心も自由になるのです。
 相手を観察し続けて、変化を見つけ出すのは大変なことですが・・・。

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