[6月に発送した便りです]
記録を書くのは大事です。
学校の勉強は、カリキュラムも内容も、時間も進む速度も先生にお任せになっているのでまったく気にしていないかもしれません。
記録を書く必要性を感じないことでしょう。
けれど、「勉強」は本来、自分にとって必要だからやるものです。
大学の勉強を想像してください。
研究室に入る前は授業(講義という)があります。
半年間の授業で使うテキストが指定されます。厚さはロボット教室の1年分くらいになるものもあります。
テキストを読んで、授業に出るのです。
授業ではテキストの説明よりも、ほかの人の意見との比較などをします。
大学は、知らないことを教えてもらう場所でもあるのですが、
もともと知らなかったことが書いてある指定されたテキストを読んでおいて、
その上で授業で話す先生の考えを聴くのです。
「ロボット博士養成講座」も、「勉強は自分でやるもの」という意味では同じですが、かなり優しく勉強してもらっています。
ロボット教室の授業中にテキストを読んで、理解して、ロボットを動かしてもっと理解して、次に進んでいくのです。
だから、質問で「わかりません」はありえません。
もし質問するなら、
「このページのことは、
今まで出てきた記憶がないし、
調べた範囲ではテキストにも書いていませんでした」
です。
この言い方で何をやっていいのか理解しにくいのであれば、こうしてください。
0テキストのそのページをにらみ続けるのをやめる。それを「考える」とは言わない。
①5ページ前から、5ページあとまで、合計10ページを見て、関係することが書いていないか探す。
②見当たらなかったら、その季節のロボット(春ロボットなら、4月~6月)のテキストを全て調べる。
③それでも書いていなかったら、本来は今までのすべてのテキストを調べる。
④慣れないうちはそれが難しいので、この段階まで来たら若狭に質問する。
↑自分で何とかしようと調べている姿を見かけたら、
①や②の段階で気づいて声をかけています。
こういった努力をしないで、答えを聞いて、次回同じ質問をしていませんか?
そして、「なんだ、そんなこと?」と言っていませんか?
とても失礼なことを言っていると思いませんか?
でも毎回、テキストを全部ひっくり返して調べるのは大変ですね。
だから、好きで来ているロボット教室であれば、忘れやすい大事なことをすぐに調べられるようにしましょう。
あとで、自分が使うことが目的です。
使いやすい方法を探しましょう。
自分の性格に合わせた、使いやすい方法を見つけて実行してください。
・ノートに整理して書く。
・テキストに付箋をつける。
・テキストの抜粋版を作る。
・コピーをとって、ノートに貼り付ける。
・写真を撮る。
・スマホのアプリ「メモ」に、内容とページを記録する。
(例えば、「if 1年目春第5回 P10」など)
・ノートを使って、自分用の冊子を作る。 など。
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それをサポートするのが、「学びの記録」です。
中学、高校、大学、そのあとにも書く「実験ノート」です。
「今日は、どこまで、何をやったか?」を書くものです。
自分のためのものなので、「事実」と「計画と期限」だけシンプルに書きます。
「事実」とは、「やったこと」「起こったこと」「どうやったら壊れたか」です。
データや考えたことには、「日付」「誰が」を必ず書いてください。とても重要です。
学びラボでは、生徒一人一人を記録する「学びの記録」(生徒別)を授業終了後に書いています。
私はそのほかに、ノートに「ロボット教室のできごと」(日付別)、手帳サイズのノートに日常生活の毎日のできごと(日付別)を書いています。
(人によっては、ルーズリーフ型で差し替えや入れ替えがしやすい方法を使う人がいます。
自分が使いやすい方法を採用すればよいのです)
私はなぜ書いているのでしょうか?なぜロボット教室に通うみなさんに書くことを勧めるのでしょうか?
皆さんにとって、
「ロボット教室の授業がやっと終わったのに」
「書いたからって、ロボットを動かして遊べるわけじゃないのに」
「このあとに予定があるのに」
「文字を書くのが面倒くさい」
などやりたくない理由があることでしょう。
人によっては、「何をやったか覚えているから大丈夫」などと思っている人もいることでしょう。
やりたくない理由をいくつも挙げる時間があったら、
やってしまったほうが早いものです。
「学びの記録」を書く理由と何を書くかについては、最後に記します。
タイトルのように、『「学びの記録」は実験ノート』です。
大学で実験したり、研究したりするときには、かならず「実験ノート」を書きます。
同じことです。
実験をする人、探求する人は書くのです。書かない選択はありません。
将来実験系の勉強をしたいのであれば、その練習と思って、取り組んでください。
学びラボの「学びの記録」は、それをとても簡単な表の形にしたものです。
自分のためのことです。おそらく次回、その効果を実感することでしょう。
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1.『学びの記録』の目的
●忘れてしまうから。
●テキストをどこまでやったか忘れて、飛ばしてやらなかったらもったいない。
●生徒のみんなが自分で、自分を調子に乗せる方法を知るため。「自分の得意技」「自分ががんばったことの記録」「しくじりやすいこと」など。
●一人一人の普段の行動、パーツや道具の扱い方の傾向を知るため。
●もっと学びが深くなるように若狭が準備をするため。
2.『学びの記録』に何を書く?
●[日付][進度]:いつ、どこまでやったか?
●[学びの記録]:生徒みんなにとって書いて残したほうが役立つことを書く。
①何をやったか?どんなトラブルがあって、何を壊したのか?
トラブルで修理したのか、交換したのか、様子見をしたのか?
②次回までに自分が何を準備してくるか?誰に、何を頼んだか?その結果は?
③一番時間をかけてやったことは何か?何分かけたか?
[経験値アップ、スキルアップ、達成感を得る、満足が得られる。
それは、自分が興味あること。探求したいこと。]
④次までに、どんな準備をしてきたら、もっと満足度が高まるか、
作戦とスケジュールを考える。
(学びラボ 若狭 喜弘)
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