[5月に発送した便りです]
「ロボットやプログラミングなら自分にできそうな気がする。おもしろそう」
「思い通りに、ロボットを動かせるようになりたい」
と、はじめたころの自分を思い出しましょう。
そして、何を経験してきたか、いま何をどれだけできるようになったか、指折り数えて自信を持ちましょう。
【学びラボ ロボット教室のみんなへのリクエスト】
「ロボットとは、自分(人間)が考えた動きを上手によい加減で動くようにプログラミングした機械」です。
だから、プログラミングの「正解」は、自分が決めたらいいのです。
何度も繰り返し書いていますが、
「もっと自分の頭で考えよう!」
だけなのですが、「何を」考えたらいいか、「どのように」考えたらいいか、おそらく想像がつかないと思うので、視点を変えて書きます。
※「考えろ」と言った時に、「忖度しろ」「わきまえろ」という意味で言う大人が多いですが、僕はそんなことは少しも考えていません。「実現するのが難しいかもしれないけれど、自分がやりたいこと」のことを「考えろ」と言っています。
※すでに「自分の頭で考えて」いる人もいます。知っています。確かです。そういう人にとっては、「こんなこと、もうやっている」と感じるかもしれません。釈迦に説法かもしれませんが、何か一つでも役に立つことがあるかもしれません。そういう内容があるよう祈ります。
心配は、これから書くことが何のことか理解できるか、理解できても勉強のやり方が変わるかどうか、わからないことです。が、とにかく書くことにします。
1つは、小学校1年生のころ、時間通りに教室に入って、椅子に座って、教科書通りにきちんとやったら、大人からほめられた。発想はそこから成長していますか?という話。
もう1つは、学校の勉強をやってきて、事実をもとに科学的に正しいやり方で考えられるようになってきていますか?という話。
これらは、「学校の勉強はなんでするのですか?」という質問の答えとつながっています。
学校の勉強はぼう大で、1つ終わっても次の章があって、最後が見えない。今自分が持っている知識とやり方では理解できないこともあるし、新しいことはチンプンカンプン。イヤになることもある。テストが終わったら、続きがはじまる。学年が終わったら、上の学年がある。
だから、テストを何とかしたらいいだけだと思うし、「勉強したくない」と思うのも仕方ない。
学校の先生は勉強の意味を教えてくれないし、学校の勉強の終わりがどこにあるかも教えてくれない。
それで、受け身で授業を受けるしかない。受け身で勉強するトレーニングをしているようなもので、やり方がすっかり身についてしまって、考え方も、頭の先から足の先まで「こんなもんだ」になってしまっている。
もちろん、踏ん張って反抗し続けてもしんどいばかりだし、テストをクリアしないといけないから学校のやり方に合わせたほうがよいだろう。
そう思ってしまうのはわからなくはないけれど、間違いです。
ここまで、「学校」と書いているけれど、学校、塾、入試のことをすべてひっくるめて代表させて「学校」としています。
学校で勉強する意味は、入試を突破するためではなく、社会性を身につけるためでもありません。
「学校」は、学びたいことが学べるところに学びたいときに行けばいいのです。
「社会性」は、自分を持って相手と対等に話を聴き、自分の言うべきことをきちんと伝えることです。
学校では運動会、文化祭など集団行動で「社会性」を体験させるばかりで体系的に学んで練習する機会がありません。
学校で勉強する意味
<技術を身につける>
事実をもとに、科学的に正しいやり方で考えられるようになること。
<その目的>
自分がやりたいことに進んでいける。自分らしい生き方を選んで、幸せに生きる。
<学校で勉強する目的>
学校は、年齢がそろっているので、年齢にふさわしい適切な内容を選んで効率よく教えられる。
集合型で、コストを抑えて教えられる。
(大学や、夜間中学・高校は、生徒の年齢はバラバラだが、生徒が学びたい内容をカリキュラムにして授業で提供している)
学校の勉強は、国語、算数・数学、理科、社会、英語とも、科学的に正しい事実を知ること。そして、科学的に正しいやり方、考え方ができるようになること。つまり、事実をもとに、正しい考え方で順に考えられるようになること。
それは、ほかの人を納得させる必要があるから、自分の結論を、正しいやり方でやったと、順を追って説明しなければいけません。
これを身につけるのが、勉強です。
※「科学的に正しい事実」と書いたが、研究が進んだら事実が変わることがある。その研究は、「科学的に正しいやり方」で考えたものでないといけない。教科書の間違いを指摘して書き直させるのは君かもしれない。
だから、小学校1年生の時は生徒としては何もわからないから、まずは授業の間は椅子に座って、教科書の最後まできちんとやるようにしつけられます。そういう練習をされているのです。最初は仕方ないけれど、それがゴールではないのです。
小学校高学年になっても、中学生になっても、この意識から抜けていない人がいます。この年齢になると、「きちんとやってほめられる」のを待つ人もいるでしょうが、
「教科書が終わったら自由時間」
「途中わからなくても最後までいったら終わり」
「わかっていなくても、バレなかったらそれでいい」
「テストでは、公式を丸暗記して当てはめたらいい」
となる人もいます。このように書くと、小学校1年生の時のパターンをそのまま勝手に拡大解釈しているだけなのがわかるでしょう。
そうなる理由は、「学校で勉強する目的」を教えてくれないからです。考える機会もありません。
そして、「僕は、何に興味があって、何をやりたいか?そのために何を学んだらいいか?」を考える機会もありません。
やりたいことがスポーツであっても同じです。運動の技術や体力を身につけるだけではなく、「より上手になるため」などの目的には自分の身体や動きの分析、チームや戦略を分析する技術も必要です。「分析する」とは、「事実をもとに、科学的に正しいやり方で考える」ことです。
海外のスポーツする人は、その競技のトレーニングをしながら、工学部の研究、医学部での勉強、法律の勉強など、興味あるものをいくつも同時に勉強しています。スポーツの競技者として終わった後の職業のために。
そういう人生設計も考えます。
日本の小中学校では、こんな問いかけをすることはほとんどありません。「好きなこと何?」「どんな職業につきたい?」くらいでしょうか。
日本の学校では、
「年齢を揃えて、年齢にふさわしい適切な内容を選んで効率よく教える」
「集合型でコストを抑えて教える」の目的のために
「みんなをだいたい揃える」ことはしても、
「個人の能力や興味に応じて」伸ばすような手助けをしてもらいにくいものです。
生徒も枠にはまっていたほうが『楽』なので、学校や先生の指示に従って、その中でできるだけ『楽』をしようとするものです。
ここまで書いてきたことは、そのような時間を無駄にする考え方に染まったらダメだよ、という話です。
「自分がやりたいことのために、科学的に正しいやり方を身につける」のは、手間や時間がかかるものだから、『楽』する考え方や習慣は自分の人生を捨てるようなもので、本当にもったいないです。
ロボプロ(ロボット教室)は、自分から望んで選んで来ているのだから、「できるだけ楽をしよう」という発想はヤメましょう。僕から見たらわかるし、わからなくても君にとって損です。
※ロボプロのテキストにミス、というかテキストを書いた人の配慮不足で、普通に読んだだけでは情報が無くて答えが出ない「チャレンジ問題」などの設問があります。それを「終わった」と言っている人がいます。できるはずがないので、僕からは、設問をやっていないのが丸わかりです。
設問をやったかどうか尋ねたら、その時になって初めて「うまくいかんかった」と言う人もいます。
ここまで読んできたら、僕から「すべての問題をやっているか確認してやらせる」のは、根本的に違うとわかってもらえるのじゃないだろうか?僕がそんな管理をしていたら、「君が、自分がやりたいことのために、科学的に正しいやり方を身につける」なんてできません。設問を解くのは生徒の君の範囲のこと。うまくいかないときに質問するのも君の範囲のこと。僕は質問されたら一緒に考えて、君の身になるよう適切なヒントを伝えます。
何よりも、「やった?」と聞かれるのは嫌じゃないですか?
禁止事項はいくら言われても、楽しくないですね。建設的にいきます。
ロボプロ(ロボット教室)では何をリクエストしようかな。
●テキストは読み飛ばさずに、きちんと全部読みましょう。
●設問の形になっていなくても、ロボットを作る際に必要な調整の方法が書いてあることがあります。「設問に答える」じゃなくて、「自分のロボットに必要な情報を得る」視点で読みましょう。
●設問は、おもしろがって全部答えましょう。設問以外のパターンも考えてみましょう。一方で似た問題だと思ったり、時間が足りなかったら、答える問題を絞りましょう。やらない問題があってもいい。
●自分が生み出した、テキストに載っていないロボットは、ビデオに撮りましょう。YouTubeにアップします。ほんのわずかな工夫でも大丈夫です。ほかの人はやっていないので、君が最先端です。
最後に、ロボプロという小さい世界から話を広げます。
これまで何度も書いていることだけれど、君自身の
「僕は、何に興味があって、何をやりたいか?そのために何を学んだらいいか?」
について考えませんか?考えた結果を僕に宣言してください。きっといい人生が広がります。
考える途中の話の聴き役もします。お待ちしています。
(学びラボ 若狭 喜弘)
『科学リテラシー』について、別項でまとめました。ぜひご覧ください。
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