[7月に発送した便りです]
「ロボットやプログラミングなら自分にできそうな気がする。おもしろそう」
「思い通りに、ロボットを動かせるようになりたい」
と、はじめたころの自分を思い出しましょう。
そして、何を経験してきたか、いま何をどれだけできるようになったか、指折り数えて自信を持ちましょう。
【「決めつけ」に気づいたら、世界が広がる】
「ロボットとは、自分(人間)が考えた動きを上手によい加減で動くようにプログラミングした機械」です。
だから、プログラミングの「正解」は、自分が決めたらいいのです。
ロボプロコースを私はムチャクチャ難しいとは感じていません。大人だからだとか、先生だからだとか、先生用のテキストがあるからだとか、理由を挙げる人がいるかもしれませんが、それらはあまり関係ありません。
知識は、調べて、試して、考えたらいいのですから。
そもそも、知識はロボプロコースのテキストに書いています。確かに、テキストに親切じゃないと感じる個所もありますが、今の年齢や学年とは関係ない「ロボット作り」をしたいのですから、今まで知らないこと、やったことないことが書いてあっても、ある程度仕方ありません。むしろ「もっと教えて」です。それでも限度があって、生徒の皆さんにとってあまりに不親切なところは、私が補足資料を用意しています。だから、知識のレベルの話ではありません。
一つ一つの内容は高度かもしれませんが、
「ロボットに書く命令にはどんなルールがあるか?」
「ロボットにどんな順番でやらせるか?」
「その順番で実行させるようにプログラムのセット(小さな塊)を置く」
のは、それほど難しいことではありません。
例えば、「桃太郎」のお話は、サル、イヌ、キジとの出会いの順番など入れ替わってもいい小さなエピソードはありますが、大きな流れは決まっています。大きな流れは小さな子供でもわかります。別のお話でも、大きな流れのパターンは変わりません。
ロボット作りのときに、「大きな流れ」と「必要な小さなエピソード」を考えるのは、それほど難しいことではありません。
と思っているのですが、違う感じ方をしている人がいるのを知っています。学校や塾では、たいていの場合に最初のページから順番にやります。「全体の大きな流れ」を考えないで、「個別のこと」を順番にやります。例えば数学の時間に、アイドルのヒットの仕組みや宇宙の話からははじめません。
その勉強のやり方が自分に合っているかどうか知らないままやっていて、
「勉強するのが苦手。だから、ロボプロコースで 『勉強』 するのは嫌」と感じていたり、
ロボプロコースを「学校の勉強じゃないから」と、考えるのをさぼって手抜きしているうちにますます訳がわからなくなっているのじゃないかなあ、と推測しています。
「勉強するのが苦手」も「勉強は嫌」も「決めつけ」です。
ほかの人だったら違う結果になっているということは「決めつけ」です。
すべての人に当てはまる事実ではありません。
ということは、「自分も別の結果にする」ことは可能です。「決めつけ」ていることに「気づけ」ばいいのです。
たとえば、以前は陸上100m走で10秒を切ることは人間の身体の構造として不可能だとされていましたが、1人が走れたらほかの人も走れるようになったそうです。「不可能だ」と「決めつけ」ていたことに気づいたのです。
「決めつけ」は、
考えなくても結論が最初から決まっているから「楽」でいい、
知らないことはできないだろうからやってみなくてもいいから「楽」でいい、
簡単にできる面白そうなことだけちょろっとやっていたら「楽」でいい
のですが、『本当にそれでいいのですか?』という話です。
ロボプロコースに来ている生徒の中にも、「自分に役立たない決めつけ」をしているように見えることがあるのです。
自分にとって役立たない「決めつけ」に自分で「気づいて」もらいたいと考え、最近このコラムで多く書いています。
他人から指摘されると言い訳したくなるし、嫌な気分になるし、指摘が見当違いなこともあるので、自分で「気づく」しかないのです。
ロボプロコースは、本格的なロボット作りの基礎を学べるところです。でも来ている生徒は様々で、テキストに書いてある知識やノウハウを読んで学ぶだけで、「使いこなせる」ようになって先に進める人もいます。
一方で、「学ぶ」って何をやったらいいかわからないし、すべて教えてもらうもので、自分がわからないのは教えてくれている人が悪い、もしくは自分の頭が悪いと「決めつけ」ている人がいます。
学校の勉強と同じく、何かしら自分を守るために「決めつけ」ているようです。
それらは、「まじめに勉強したらいい」というのではなく、
自分が好きなこと、実現させたいことのための勉強だと視点を変えなきゃいけないのです。
「決めつけ」ている人は、目の前の課題を何とかすることだけを考えていることが多いようです。
「何とかする」とは、残念な人の場合は「自分で解決する」という話ではなく、「できるだけ早く終わらせて目の前から消す」ことのようです。
これを「勉強」だと「決めつけ」ています。そこに「気づき」や「学び」はありません。ということは、それは作業であって、勉強ではありません。
自分の「決めつけ」に「気づく」のは、自分です。
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別の書き方をします。
ロボプロコースに来ている人で、テキストを見てそれっぽく組み立てること、リモコンで操縦することだけに関心があるように見える人がいつの時代もいます。今でも、そう見える人がいます。
最近何度も書いていることですが、
そういう人は、「勉強すること」を勘違いしていて、変に「決めつけ」ていて、もったいないなあ、と思うのです。
具体的に何を「決めつけて」いるかというと、
・勉強をやらされている。
・テストがイヤ。なくなったらいいのに。
・どんな時でも「めんどうくさい」。
・「めんどうくさい」と言ったら伝わる。
・教科書やテキストを順にやっているように相手に思わせられればよい。
・「めんどうくさい」ことをやらないのは手抜きではなくて、当然のこと。
・手を抜いていることを見つかるかどうか、相手とのゲームだ。
・見つからなかったら、自分の勝ち。
・正解は相手が知っている。(もしくは、先生、誰かなど)
・結局、やらされている。
こう考えていたほうが「楽」だったり、「被害者的」だから「逃げるのは自由」と思えたりするものです。結局、楽な、何もやらない方向の理由を探しているのです。
同じ思考「決めつけ」で、ロボプロコースを受講しているように見えることがあるのです。
大人や先生が「説教」しても、「諭して」も、何も変わりません。教えたり、行動を変えさせたりすることはできません。
「ルールに合っていないから/失礼だから止めろ」と伝えて、協力してもらうことはできますが、
生徒本人が自分が「決めつけ」ていることは、生徒自身が「気づいて」「変えると決める」しかありません。
「気づく」ために、
「本当にそう?」
「それが本当にやりたいこと?」
「今の自分に役に立つ?」と
問いかけてください。
「決めつけ」から抜け出すには、自分の「決めつけ」に気づくことです。
無理に抜け出そうとしなくてもかまいません。気づいたときに、「そのままがいいかな?変えたほうがいいかな?」と考えればいいのです。
自分で考えて、決めることが大事なのです。
そうやって「決めつけ」に「気づき」はじめると、
あらゆることに「決めつけ」をしていて、
「損していたなあ」
「世界はもっと広かった」
と思うはずです。
ほかの「決めつけ」の例には、
・食べ物の好き嫌い
・仲間外れやいじめ
・数学が苦手
・イヌが怖い
・声を出さない
・大人は、すべてわかっている
・大人は、僕のことを全て決めて押し付けてくる
・大人には話してもわかってもらえない
・学校は教えてもらうところ
・学校での勉強とは覚えること
・勉強する内容を自分で考えて決めてはいけない
・いつも考えているくらいに「好きなこと」をやっていないのは○○のせい
など
『「決めつけ」た目で見て、家や学校でこれまで生きてきた』と「気づいた」ら、ロボプロコースの内容もずいぶん違って見えてくるはずです。
先生は、知識やスキルを教えることができますが、身につくかどうかは生徒が理解して、練習して、それを使ってやることにかかっています。
「気づく」ことは、先生は教えることさえできません。生徒が考えて、探求して、ある瞬間に「あっ」と「気づく」だけです。自分で気づいたことは忘れません。応用も簡単です。
いつも考えているくらいに「好きなこと」は、「気づく」ことができますが、そこまで好きでないことは気づけません。
身につけるためにはどうするか?「好きなこと」は、大変と思わないで身につけられます。
そうでない場合は、とにかく丸暗記して覚えて、自分で考えた応用問題をたくさんこなして、身体に覚え込ませるしかありません。「めんどうくさい」「疲れた」と言ってもいいけれど、言いながらひたすらやるのです。
考えて探求して「気づく」こと。とにかく丸暗記して応用問題をたくさんすること。どちらも大切です。高校くらいまでは、「好きなこと」のために何を勉強しないといけないかわからないものなので、無理やり詰め込む経験も必要でしょう。
それでも、取り組むことの一つくらいは、「いつも考えているくらいに好きなこと」だったらいいですね。
私としては、それがロボプロコースだったらとてもうれしいです。
繰り返しておきます。
自分の「決めつけ」に「気づく」だけでいいですよ。それをどうするか、決めたらいいのです。
武田鉄矢さんのことばを記します。
「答えは先生も知らない。勉強するのは、自分の力で少しでもましな答えを探すため。それが、僕らの自由」
(新型コロナウイルス対策や東京オリンピックで右往左往しているのを見て、武田さんが「気づいた」こと。文化放送「武田鉄矢 今朝の三枚おろし」より)
※「決めつけ」についてもっと知りたいときには、以下のことばで調べてください。
ビリーフ、幼児決断、アンコンシャス・バイアス など
(学びラボ 若狭 喜弘)
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