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【授業終わりに声掛けしていること】

category : ロボットつくり, コラム, 勉強する 2021.12.3 
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[11月に発送した便りです]

「ロボットやプログラミングなら自分にできそうな気がする。おもしろそう」
「思い通りに、ロボットを動かせるようになりたい」

と、はじめたころの自分を思い出しましょう。
そして、何を経験してきたか、いま何をどれだけできるようになったか、指折り数えて自信を持ちましょう。

【授業終わりに声掛けしていること】

 「ロボットとは、自分(人間)が考えた動きを上手によい加減で動くようにプログラミングした機械」です。

 だから、プログラミングの「正解」は、自分が決めたらいいのです。

 毎回の授業の終わり近くに、このような声掛けをしています。
 ・「工夫してどんなものができた?」
 ・「何をやろうとした?」
 ・「何がおもしろかった?興味を惹かれたものは?」
 ・「何が書いてあった?」
 ・「わかった?」
 ・「どこまで進んだ?」

 私が学びラボ ロボット教室(ロボプロコース)での声掛け(質問)一覧です。
 普段は、どの声掛け(質問)をされることが多いですか?
 これからは、どの質問をされたいですか?
 放っておいてほしいですか?(私が放っておいて、生徒からの「助けて」の声もなかったら、ロボプロコースに来ている意味がないのですが・・・)

 声掛けの質問は、その時間にやっていたことを見て、その内容に応じて変えています。その意図です。

・「工夫してどんなものができた?」
 テキストに書いてあることをだいたい終わらせて、テキストに書いていない機能追加にチャレンジしていた場合などの声掛けです。

・「何をやろうとした?」
 テキストに書いていない機能追加にチャレンジしたけれど、完成までいかなかった場合に使います。何にチャレンジしたかを問う質問です。途中で終わっても、何とかしようと考えたことは経験になります。

・「何がおもしろかった?興味を惹かれたものは?」
 テキストをだいたい終わらせた場合の声掛けです。気持ちが動いたもの、興味がわいたものを聴きます。テキストから一つ挙げてもらえればと思っています。

・「何が書いてあった?」
 ページをめくっていただけで、テキストをだいたい終わらせた様子のときの声掛けです。テキストに書いてあることを箇条書き程度で聴くものです。読み飛ばしているであろう大事なところは、ページを開いてもらって、その箇所を指さします。

・「わかった?」
 テキストに書いてある内容に興味無さそうにページをぺらぺらとめくっていた時の声掛けです。「内容が記憶にあるか」というレベルではないけれど、ざっくりと簡単に答えられる質問です。ただし、「わからなかった」と答えが返ってきたら、「終わり間際じゃなくて、もっと早く言ってよ。自分から言わないと。次回説明するからね」と、さらに返します。

・「どこまで進んだ?」
 何ページまで進んだかの質問です。たとえわずかでも前に進んでいたとしたら、前に進もうとしていたとわかります。

 上から下に行くにしたがって、生徒の面白がり具合のレベルが変わっているのがわかるでしょうか。
 すごいロボットを今の時点で作り出す生徒が最優秀という訳ではありません。優秀には違いないし、全国大会に行ったら賞を取れるかもしれません。古田先生に名前を憶えてもらうなどの将来の道が開けてくるかもしれません。
 でも、ロボプロコースに来ている人に経験して身につけてもらいたいのは、ロボット作りの基礎的なことと、くじけないでやり続けることに慣れることです。ロボットの完成度はそのあとです。すごいロボットを作ることを夢にするのはいいけれど、自分がイメージしたものしか作りだせません。イメージを持って具体的な形にするためには、基礎的な知識と経験が必要です。手や身体の経験と自分の頭で考える経験です。
 そして、次のような行動や考え方ができることです。私は、教えることはできません。取り組む姿を見せるだけです。

・おもしろがって取り組む。

・「あれに使えるかなあ」と思ってテキストを読み進む。

・「テキストにない動きのロボットを完成させるのは難しいけれど、少なくとも、何度もやり直すことはよくあることなので、これくらいではくじけない」と思える。

・トラブルが起こったときには、場合分けして問題個所を探し出せる。

・要点を拾い出せる。ミスに気づいたら、テキストの前に戻って要点を探せる。

・「何が起こったか」「どうしたいか」「どんな助けが必要か」を伝えられるようになる。

 これらの経験の場にしてもらいたいのです。
 知識を教えることはできますが、生徒自身が「ミスを発見する」、「テキストに書いてある必要な情報を探し出す」などをやったほうが、強く印象に残りますし、経験にもなり、自信にもなります。きれいに前に進むよりも、はるかに価値があります。
 そうは言いつつも、授業時間は1回2時間なので、わからないままで止まっていては進みません。わからないことのレベルによって、15分、30分、1時間くらいを目安に助けを求めて欲しいなあ、と思っています。
 トラブルは、プログラミングにミスがある時のほか、ロボットのパーツ、パソコンのそれぞれが原因のことがあり、パーツなどを交換したらすぐに解決する場合もあるので、問題点の仕分けだけでも早めに相談してください。

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 質問して、答えてもらって、どうするかを書いていませんでした。
 声掛けの質問の視点は、

 ・次にどうするか?

 ・予定より遅れているなら、その後の授業予定をどのように入れるか?

 ・予定より進んでいるなら、あまった時間に何を探求するか?

 といった計画を一緒に練るためのものです。

 ですから、読んでもらった印象の通り、声掛けの質問は、生徒を評価・点数付けするためのものではありません。事情聴取して、私が解決しようと情報を集めるためのものでもありません。
 すべてニュートラルな質問です。生徒の皆さんが、自分の到達点を自覚するための質問です。

 ・返事の内容によって、一緒に喜びますが、ほめません。

 ・その生徒が良く気付いたところ、
  丁寧にやっているところ、
  とにかくやりながらうまく動く条件を探すところ、
  くじけないで何度も組み直しているところなど、
  秀でていることは伝えます。

  (本人にとっては当たり前すぎるようで、あまり喜んでいるように見えませんが)

 ・困ったところがあれば、生徒自身で解決できるようにと助けるつもりはありますが、代わりにやってあげたり、できないことを笑うことはありません。
  (プログラミングは本人がやるしかないので代わってやってあげられるのは組み立てだけだけれど、組み立てはみんな自分でやりたいものです。組み立てできないほどの思考力だったら、プログラミングは不可能です)

 ・質問して返ってきた答えのうち、困ったこと、失敗したこと、テキストの説明の仕方が十分ではなくてわかりにくいことなどは、私がサポートできることの参考にしています。
  (教材やテキストを提供してもらっているところに質問したり、追加テキストを作ったりしています)

 ・そして、新しく入ってくる人たちに「そんなに肩に力を入れなくてもいい。先輩もいろいろやらかしたけれど、そうやって間違えやすいところを教えてくれていた」と伝えるための具体的な例として使わせてもらっているだけです。

 ロボプロコースで得られるものは、知識や技術を身につけることと合わせて、そのために「やっちまったこと」を経験して、「自分に合った知識や技術を身につける方法」を「自分で見つける」ことです。

(学びラボ 若狭 喜弘)

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