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【ロボット教室で学んだと感じたことは何ですか?】

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[1月に発送した便りです]

「ロボットやプログラミングなら自分にできそうな気がする。おもしろそう」
「思い通りに、ロボットを動かせるようになりたい」

と、はじめたころの自分を思い出しましょう。
そして、何を経験してきたか、いま何をどれだけできるようになったか、指折り数えて自信を持ちましょう。

【ロボット教室で学んだと感じたことは何ですか?】

 「ロボットとは、自分(人間)が考えた動きを上手によい加減で動くようにプログラミングした機械」です。

 だから、プログラミングの「正解」は、自分が決めたらいいのです。

 現在、「ロボット教室体験記募集」を一番プッシュしています。テーマは「後輩に伝えたいこと」です。
 (新しい形式のアンケートを作ったので、そのお知らせも兼ねています)

 表に出していないけれど、生徒の皆さんからのコメントで欲しかったことは、「後輩に伝えたいこと」のほかに「学んだこと」。問いのゴールは同じです。
 2017年の開講以降、ほぼ同じ「体験記募集」をしています。でも、問いかけ方が間違っていたかな、と思いはじめました。提出してくれる人も多いのですが、テーマを選んで、自由筆記ではハードルが高いと思われているように感じます。思春期特有の「自分のことをわかってもらいたいけれど、ことばにしたくない」傾向とか、「学校で発表すると目立ってしまってよいことがない」とか、が表れているようにも感じます。

[学校での学ぶ]

 「学ぶ」と言えば学校です。極端な表現をすると、学校では入試がゴールになっていて、大量の情報と技術(計算方法、五段活用など)を教え、授業もテストも、1回で正解を答えられるようにします。すると、「○○を知らなかった。学んだ。できるようになった」のサイクルを繰り返すわけです。また同じようにできても、早くできた人が「勝ち」という基準になります。
 整理すると、

・学ぶことが勝手に決められ、与えられる。量が多いと感じる人もいる。
・できるだけ教科書通り、早く理解し、できるようにならないといけない。
・テストでは、正確に早く答えなければいけない。
・テストの点数が高い人、早い人が勝ち。
・わからない人は、自分で考えず、質問せず、正解を覚え、書き写せばよい。

 「~でないといけない」「勝ち」は価値観で、本来はすべての人がバラバラのものです。順に並べられる価値観の基準がたった一つというのはおかしなことです。
 「~したらよい」は、思いやりのある提案のようですが、相手が考えることをやめて、自分の言うとおりに動かす命令です。
 これらはまったく面白いと思えないですし、あからさますぎて否定したくなりますが、ここまで極端ではないものの学校はこの価値観を習慣的に身につける場になっています。
 そうならないよう、工夫、苦労されている先生方もいらっしゃいますが、入試もあるので、「日本の学校」の視点ではこの傾向にあるようです。
 そのため、「学んだことは?」と問われると、「○○を知らなかった。学んだ。できるようになった」という発想になると想像します。

[ロボット教室での学ぶ]

 ロボット教室は、学校とは別の価値観で動いている場所です。でも、学校での発想が抜けない人を見かけます。つまり、

・ロボットを作った ⇒ 動いた。OK
・プログラミングした ⇒ 動いた。OK
・電源を入れたら何か動いた ⇒ OK

 「動いたらOK。で、次」という発想です。ここまで幼稚な回答を受け取ったことはありませんが、「体験記」を出してくれない人はこれに近いのかなあ、と見ています。どんな形でも動いたら「終わった」「できるようになった」とする人もいるので。
 3つ目の補足をします。テキストに書かれていること以外に、どんな動きをしても「動いたらOK」とする人もいます。また、ロボット教室のテキストでは、最初に使うパーツの動作チェックをして、次第に組み込んでいきます。人によって、テキストの半ばになってから動かないと相談があります。動作チェックをしたと言いますが、あらためてチェックすると正常ではありません。パーツの動作チェック用プログラムが動作したら「動いた」としているようです。与えられたテキストや道具は、おおむね信用していいけれど、「故障や間違いがあるかもしれない、人間だもの」という発想になりにくいようです。
 私は、20個中1個に故障など不具合が起こっている印象を持っています。その1個に自分が当たる可能性を考えていません。「ハズレを引いた」という人もいますので、工業製品にもばらつきがあることを繰り返し説明します。「ハズレ」は価値観ですが、不具合の割合は確率の話です。

[学んだことを自分で知る]

 私が考える「学んだこと」は、他人から点数などで評価されるものではなく、自分で「ここまで形にできるようになった」と、自分の実力アップをまずは喜ぶのです。
 その先は、発表の誘いなどを周りからしたとしても、満足感をまだまだ味わったり、同じことの続きをやったり、発表作品を作ったり、別のことに取り組み始めてもいいのです。自分が決めることで、他人が決めることではありません。それこそ「個人の自由」です。

 でもだからこそ、自分が「学んだこと」を自分が正確に知ることが大切です。「学ぶ」視点が自分になかった分野を知ることも大切です。
 このコラムの最後に、新しい形式のアンケート(案)を添付しています。新アンケート(案)ではチェック形式にしています。大きく分けて3分野(ロボットの製作力、思考力など個人の能力や生きる力、科学への興味や能力アップ)とそのほかです。その中の1つ以上について、コメントを書いてくれるようリクエストしています。自分のことばで書くと、気づいていなかった新しいことを発見することもあり、子供たちがよく言う「めんどうくさい」の先にある大事なことを手にできますので。
 以降は、1年間終わるごと(進級時、終了の場合も)に全員に書いてもらう予定にしています。
 自分の成長を実感してもらうために、回答後に本人に前年までのアンケートと見比べてもらえたら、と考えています。

(学びラボ 若狭 喜弘)

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