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【最近の大学入試はずいぶん変わっていた】

category : コラム, 勉強する, 発想を変える 2022.9.24 
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[9月に発送した便りです]

 学びラボ ロボット教室の生徒はみんな知っているけれど、はじめたての人や来ていない人が知らないことは、
●「学ぶ」とは、教えてもらうことではなくて、自分から理解しに行くこと。

●ロボットを作るときにやっていること。
①テキストにはロボット作りのすべてが書いてあるのでじっくり読む。
②順番に考えて、一つ一つ試して、自分の知識や能力を積み重ねていく。ロボットの動きの順番も考える。「適当に」では作れない。
③式を計算することが苦手でも逃げない。国語、算数・数学、物理(理科)が必要。
④簡単にできることだけをやっていないで、少し難しそう・面倒そうに見えて避けていたことにチャレンジする。楽しむ。

【最近の大学入試はずいぶん変わっていた】
[「勉強したいこと」は大学で何をしたいかから考えては?]
 今、小学校高学年~中学生のみんなにも、あっという間にその時が来ます。
 学びラボ ロボット教室にかつて通っていた人たちも、高校受験、大学受験と聞きます。学びラボ ロボット教室がスタートして6年目、ロボプロコース自体は9年目になるので、最初の年に小学6年生だった人は、もう二十歳を超えています。高校進学、大学進学時に、みんないろいろ考えたことでしょう。
 今小学生の人は中学受験をどうするか考えているでしょうし、中学生には高校受験や大学受験がすぐやってきます。
 そのように追い立てられるのは落ち着かないから脇に置いといても、「自分が何を勉強したいか」を中学生で考るのもいいですね。大学で学ぶという道を想像したら、「自分が勉強する意味」をイメージしやすいのじゃないでしょうか。

[「勉強する」を勘違いしないで]
 それでも、「その先の将来のために我慢して勉強する」のは違います。大人はつい、「将来のために今を我慢して勉強しましょう」と言いがちです。子供の時の暗記勉強は、ずっと記憶できるといった効果があるのは確かです。が、我慢の期限はおそらく大学進学までです。中学1年生だとして10年少ししか生きていない人に、3年先、6年先、10年先までずっと我慢しろというのは、かなり無茶な話です。我慢するなら短期間で、本人がどの程度ほかのことをやめて集中して勉強するか決めるものです。
 将来社会がどう変わるか、誰にも想像がつかないのだから、何をやったらお得なのか、誰にもわかりません。むしろ、子供たちが望む「やりたいこと」が集まって将来が決まるのであれば、「やりたいこと」をとりあえず決めてやってみて、試行錯誤して「本当にやりたいこと」を見つけていくしかありません。

 そうは言っても、勉強することは必要だから、勉強する立場の子供たちを主語にしたことばにすると、
「将来、そのために必死にならないといけないから大変だろうけれど、そのことにとても興味があることなので『どうしてもやりたい』、そのために今できる勉強をしたい」
 というものだし、
「今は将来何をやりたいか想像できないけれど、自分が決めそうなことを見つけるために、今必要なことや興味あることを勉強したい」
 です。
 テスト勉強だけが勉強ではありません。テストは自分の力を測るものです。テストをきっかけに勉強する機会が増えたらラッキーなことです。
 「だいたい わかっている」はずだったのに、テスト勉強したら「全然わかっていなかった」ことを知って愕然とした。けれど、「さらに勉強して考えたら理解できるようになって、ほかのことも理解できるようになった」というのがテスト勉強の効果です。
 中には、「学校の授業は全然聞いていないしわからないけれど、塾で教えてくれるからそれでいいよ」という人もいます。自分が理解しやすいところで勉強したらいいとは思います。けれど、学校の先生だけが悪い訳ではありません。運動会の組体操と同じで、生徒と先生という二人が息を合わさないとうまくいきません。学校でも塾でも、学ぶ人(つまり、みんな)が学びたいことをどん欲に求めていかないと。

[新しく知った大学や受験のこと]
 今年は大学進学について話を聴かせてもらうことが何件もありました。
 志望校を調べて決めるにはそろそろ終盤です。受験生の受験準備は追い込みです。試験に受かるための受験対策は、受験生が情報を集めて、いろいろな人と相談しながら決めて、必要な勉強は学校や自宅や塾で過去問題を解いたりするものですので、私はあまり力になれません。もちろん、ほかの人がどのように問題を解くか知りたいのであれば協力できますが、学校など身近に声をかけやすい人はいるでしょう。

 最近の大学入試のことを調べて、実感しました。大人は自分の経験しか知らないし、親より上の世代は数十年前の経験ですからずいぶん変わっています。大人が自分の情報をアップデート(update、新しくする)しないといけません。これも勉強です。子供たちに「勉強しろ」と言っておいて大人が勉強しないとしたら恥ずかしいです。そして、大人は子供に代わって決めるのが役割ではなく、話を聴いて、一緒に調べて、応援するだけです。
 私も話を聴かせてもらって、その場で自分の常識とのズレを感じました。話のあとで真剣に情報を調べました。あとで調べても仕方ないのですが。応援のメッセージを送って「わかってもらえた」と感じてもらいたくて。これも「大人の勉強」です。

※「大人の勉強」は、子供たちの親として必要な勉強、仕事で資格を取るための勉強だけでなく、あらゆることです。高校までは最低限の知識や情報を授業やテストで教えてくれますが、学校を卒業した後は自分で興味を持って勉強するのです。

 以降、知って驚いたことを記します。正確な情報は、学びたい学科、研究室がある大学を調べ、受験方法をよく読んで、自分に合う方法を選んでください。その学校に合格し、学び続けるために必要な力をつける努力は、自分で決めて、行動しましょう。

●「専門職大学」という区分の学校ができた。
「専門職大学は、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関として平成31年度に制度化された新しい大学です。」(文部科学省のホームページより)
・特定の専門職業人を養成することを目的とする。
・専門職大学卒業者には「○○学士(専門職)」の学位が与えられる。

 専門に特化して学びたいときに選択肢になる。
 すべて私立なので、学校を運営する学校法人ごとに特徴がある。

●「オープンキャンパス参加型」選抜という試験形式。
・芸術、美術、工芸などの大学で採用されている。
・オープンキャンパスや体験授業を受けることが入試。面接が必要な学校もある。
 体験授業を受けて、自分がやりたいことを学べると確信し、採点されて合格すると判断したら、「出願」する。授業時に、その大学で学ぶ意欲と学力や能力があるか評価される。スケッチ力などの技術については、入学後に効率的な教え方が用意されていることが多いので、採点対象とはならない。授業を受けたことが試験となる。

 体験授業のあとで納得して出願するか決められるので、受験料が無駄になりにくい。
 合格かどうかは採点結果による。

●大学への初回入学年齢は日本がいちばん若い。
「教育段階別初回入学者の平均年齢(2017年)」(図表でみる教育2019年版, OECD, 2019)
・日本の初回入学年齢は18歳。
・イギリスが21歳、ドイツ22歳など、OECDの平均22歳。20歳~25歳の国が多い。

 日本以外の国では、「自分に必要になったら、いつでも大学などで学べる」という考え方があり、スポーツをしたり、働いたりして、高校を卒業後すぐに大学に進学することにこだわりはないようだ。

参考[大学などで学ぶってどういうこと?(これまでと変わっていないこと)]
 「大学などで学ぶ」について基本的なことを整理しておきます。
●小学校から高校までは、先生から出題され、正しい回答をできるようになることが目的。主に受験のための勉強。それだけでなく、大人になって生きていくための基礎知識や能力を身につける場所でもある。
●大学では、自分がやりたいこと、学びたいこと(専門)のために必要なことの一覧を示され、単位を取っていく。大学で学ぶ意味は、その先にある。大学では、ほかの人が結論を出していないことをやる。何が正しいかを知るため、課題を設定し、調べたり、議論したりして、自分としての結論を出す。それが科学的に正しいかを多くの人と議論して磨いていく。大学は教えてもらうところではなく、学びたいことをつかみにいくところ。やりたいことだから、それが楽しい。
●高専(国立高等専門学校)では、高校と同程度の教科、専門分野の教科の授業がある。専門分野の授業では、大学と同じ学び方ができる。本科は5年間。留年もある。高専卒業後、大学3年生に編入可能。
●技術を身につけるためには、専門学校という選択肢もある。
●高校では「理系」「文系」にクラスが分けられることが多い。が、大学での専門教育でも就職後でも、理系・文系の能力がどちらも必要。得意を伸ばすためならいいが、不得意な教科を勉強したくなくて文理分けしたクラスに入ると、あとで独学しなくてはいけなくなる。必要になった時に勉強するのも一つの考え方である。
●大学には、専門分野の授業、語学や一般教養の授業がある。専門を学びたい人の中には専門分野だけ学びたいという人もいるが、専門以外の語学や一般教養は想像以上に役に立つし面白い。
●ほかの学校などで学びたいと判断した場合、ほかの大学、学部・学科に移ること、高専から大学への編入もできる。
●就職したときの初任給は、およそ「高卒<短大・高専・専門学校卒<大卒」と言われている。転職後の給料は、学歴には関係なく実力次第になるとも言われている。
●高校以降は入試を受けて入学しているので、いじめや人間関係で悩むことは本来は少ないと思われるが、人間関係のひずみが生じる場合がある。
●大学は、学びたいことを学ぶところ。自分が学びたいことがあるならば「学びたいことの協力者や仲間」が必ずいる。一方、受け身の姿勢でいたら学ぶ意欲がわかないし、仲間もできない。
●大学では、「留年しないため」に必死に勉強する人もいる。「自分がやりたいこと」を知るために自分の専門分野の授業にこだわらない人、学校に来なくなる人もいる。どの選択も自分の人生で必要なこと。間違いではない。

 学びラボ ロボット教室に通ってきている人たちに、「早く大人になれ」と言っているのではなく、むしろ「もっと無邪気に、自分がやりたいことを学べ」と伝えたいのです。
 やりたいことのためには、面倒くさいことも、あまりやりたくないことも、とにかく手を動かしてやって先に進めるのです。「自分が学びたいことを学ぶ」をはじめて経験する場所になっているとうれしく思います。

(学びラボ 若狭 喜弘)

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