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【学ぶのが楽しい】

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[10月に発送した便りです]

 学びラボ ロボット教室の生徒はみんな知っているけれど、はじめたての人や来ていない人が知らないことは、
●「学ぶ」とは、教えてもらうことではなくて、自分から理解しに行くこと。

●ロボットを作るときにやっていること。
①テキストにはロボット作りのすべてが書いてあるのでじっくり読む。
②順番に考えて、一つ一つ試して、自分の知識や能力を積み重ねていく。ロボットの動きの順番も考える。「適当に」では作れない。
③式を計算することが苦手でも逃げない。国語、算数・数学、物理(理科)が必要。
④簡単にできることだけをやっていないで、少し難しそう・面倒そうに見えて避けていたことにチャレンジする。楽しむ。

【学ぶのが楽しい】
 ロボット教室が、「学ぶのが楽しい」を思い出せるところであってほしいなあ、と願っています。

1.「学ぶ」とは?
 まず「学ぶ」というのは、こういったものです。
  1.目的を持って学ぶ。
  2.自分に合ったカリキュラムを提案してもらってそれを学ぶ。
  3.おもしろそうなものをつまみ食いして学ぶ。
  4.まずは理解できることだけをつまみ食いして学ぶ。
  5.すぐに理解できないし、わからないことも多いけれど、「そのうちわかるから」と信じてテキストをただ読んで学ぶ。

「1」は、今は受験がわかりやすいでしょう。でも本当は、自分がやりたいことのための勉強です。全国の子供たちに「ペンシルロケットを飛ばす体験」活動をしている植松努さんは、子供のころは飛行機を作りたくてクラフトブックを参考に模型飛行機を作ったり、大学でやるものと知らずに小学生で流体力学を勉強していました。

「2」は、スポーツのパーソナルトレーナーはこういうもの。プロの選手は自分に合ったトレーニングメニューを組んでもらっています。学校の学年や教科書は同じ意図で作られています。問題は、学年で決めてしまって、個人に合わせていないことです。

「3」「4」は、人によってはロボプロのテキストをこうやって読んでいるのじゃないかな。「今簡単にわかること」だけする人がいるけれど、難しそうでも「必要そうなこと」にもチャレンジして欲しいなあ。

「5」も、実は楽しい学びです。ゲームの取扱説明書や攻略本と言えばわかるでしょうか。大学で論文や本を読むのもこれです。

2.「学ぶのが楽しい」とは?
 そして、ロボット教室で「学ぶのが楽しい」というのは、次のときに起こります。
  1.新しいことを知った。理解できた♪
  2.今までできなかったことができるようになった。
  3.見ているしかなかったことを自分で操縦して失敗するとか経験できた。
  4.自分で調整や修正ができた。
  5.「難しそう」と思っていたものが案外できた。

「1」「2」は、説明する必要はないでしょう。

「3」は、私が小学生のころ毎年1回スキーの授業のことです。周りは転ばないようにビクビク滑っていましたが、私はこけても雪まみれになるだけなので思い切りやって雪に突っ込んでいっていました。

「4」「5」は、周りの人を見ながら「正解」をやらなきゃと思っているとできないのですが、自分で考えてやってみたら体験できます。自分で考えたことを後で答え合わせをしたらかなり正解だし、間違っていてもどのように間違ったかがわかります。

 学校の勉強も同じです。
 考え方や発想など自分と相性が悪い教科があったり、テストで点数が取れるように覚えるのが苦手だと、こういった具体的な苦手なことは言わずに、「教科○○は嫌い」「勉強イヤ」と言って全部を否定しまいがちです。
 でも、勉強することは楽しいのです。はじめて知った時、理解したとき、できるようになった時を思い出すだけなのです。
 なので、子供たちに学ぶ楽しさを実感してもらい、自分から学ぶ体験をしてもらうことを目的に、東京都新宿区立西新宿小学校では『通知表・テスト・宿題』をなくしたそうです。

3.勉強しなさい?
 その一方、「義務教育というのは、親が嫌がる子どもを押しつけてでも、大人が判断して勉強しなさいという世界。(※参照)」と言う人がいるから困ります。その考えはその人が本気で信じているから、このことばになりました。
 義務教育期間中に学ぶ内容は、すべてが「人として生きるために必要なこと」だから全部きちんと身につけさせたいという気持ちは認めます。でも形だけ椅子に座らせるとか、形だけ学校の教室に入れるとかをしても教科の内容は学ばないし、罰や褒美で誘導するのはハラスメントです。教科の内容よりも、「信頼できる人はいない」「家は安全な場所でない」と『学び』ます。命令や強制でなんとかなると思っているとしたら、子育てや強制的にさせたあとのフォローをした経験がないのでしょう。そして、「(新しく興味あるものを自分から)学ぶ楽しさ」を知らないのでしょう。
 もし善意と仮定して考えてみると、言った人が「学ぶ」のは身につける必要があるからだし、優越感を持つためにほかの人より偏差値が高い学校に入ることだし、給料や地位が高いところを得ることだし、ほかの人が文句を言ってこない立場になるための「勝つための道具」なのでしょう。努力はそのためのものだし、勝ったからには何をしてもいいし、自分の子供には勝つためには無理やりでもテストで点数をとれるようにしないといけない、と考えているのでしょう。社会は競争だから入試のための勉強だけしたらいい、入試に関係ないことは勉強しなくてもいいとの考え方もあるようです。

 「楽しく学ぶ」のは趣味の世界でやればよくて、勉強は苦しいものだとも言います。そういう人にとって「学ぶのは楽しい」でしょうか。「競争に勝つための勉強」ですね。ただし「競争」は、去年の入試の過去問を参考にできるような、何が勝ちか基準が決まっていて判定者がいる時にしかできません。
 去年と今年で基準がほとんど変わらないとしたら、テストの点数は1点でも多い方がいいに決まっています。ゲーム的な楽しさはありますが「学ぶ楽しさ」はありません。

 さらにもう一つ。上のような考え方だと、子供は所有物のようです。大人に責任はあっても、そのために子供に強制する権利はありません。一人一人、能力、考え方、感じ方、個性は違います。他人をコントロールすることはできません。

 学校を卒業してからも、大人になっても、学ぶことはたくさんあります。何歳になっても何かを学ぶとしたら、「学ぶ楽しさ」が必要です。「(仕事ややりたいことのために)私が学ばないといけないという決意」も。「(子供に)無理やり勉強させる」という人は、「大人になったのだから無理やり勉強させられるのは嫌だ」と、学んでいないのかも知れません。

4.新しい世界を生きるには「楽しく学ぼう」
 「学ぶ」関係で言えば、2020年から新型コロナウイルスが世界に広く感染拡大し、オンライン授業になり、タブレットやクロームブックなどの通信機器が配布され、運動会や修学旅行、入学式、卒業式が中止されました。新しいやり方を学びました。これらのいろいろなことが起こって、今までと一緒の基準でいいの?去年を参考にして1点でも多く取るという考え方だけが正しいの?と疑問を持ってもよくなりました。
 何が本当に必要なのか?必要でないのか?学ぶって何だ?学校って何だ?と考える機会になりました。これらの問いの答えは、自分が出すのです。

 何度考えても、「学ぶことは楽しい」し「学ぶ楽しさ」は必要です。
 そして、どうやって実現しようかと考えることも、「学ぶ」ことだし、それを考えることは大変だけれど「楽しい」ことです。みんなで考えたらいいのです。
 学ぶ楽しさを知っている人は強いです。頭の中が柔軟です。「あれをしたい」と感じるものを見つけることができるのは、「学ぶのが楽しい」経験をしたからです。そんな人は、偶然のできごとや出会った人や物からいつも学んでいます。だから、「学ぶのが楽しい」経験を10代の今のうちにたくさんしてほしいと思っているのです。
(楽しいと感じていることを周りの人に伝えることも大事です。先月の便りをご覧ください。
 【やりたいことをやって、人から応援してもらう方法】
https://robot.core-infinity.jp/2023/09/support/

※新聞記事の抜粋
 憲法が予定している国民の義務、大きな一つの教育を受けさせる義務。大半の善良な市民は、本当に嫌がる子どもを無理して無理して学校という枠組みの中に押し込んででも、学校教育法に基づく義務教育を受けさせようとしている。
(中略)
 「全ての子どもの学びの機会を確保し」、ここまではいい。「学びたいと思ったときに」というのは、思うのは子どもでしょ。子どもが学びたいと思ったときに学べる環境を整えます、と。なんで子どものわがままを認めるような書きぶりをするのか。
 義務教育というのは、親が嫌がる子どもを押しつけてでも、大人が判断して勉強しなさいという世界。そこで、学びたいと思ったときに学べる環境を整えますって、こんな譲歩していいのだろうか。
フリースクールめぐる発言、東近江市長は撤回せず 困惑する保護者ら https://digital.asahi.com/articles/ASRBL5WMXRBLPTJB002.html

(学びラボ 若狭 喜弘)

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