ロボット教室で出会った多くの生徒から特徴を抜き出しています。
国語力には、読む力、理解する力、表現する力などがあります。
国語力(特に文章を理解する力)をアップするには、このような方法があります。
・内容を理解しながら、音読や黙読をすること。
・ほかの人やコンピュータが読む音声を聞きながら、黙読すること。
・読むことに自信と興味を持つこと。
・単語や語彙に興味をもって学ぶこと。
・よく知らない単語を正確に分析すること。(推測しない。勘に頼らない。)
・読み替えや読み飛ばしをほとんどせずに、正しい順番で単語や文字を読む。
・算数や数学の文章題の理解。
(ディスレクシア・ツールキット http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/ access/info/dyslexiatoolkit.html#CHAP6 を参考に作成)
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国語力が不足している生徒は、学校でみんなが進むスピードに合わさせられ、プライドがあるのでわからないと言い出しにくいので、自分がわからなくてもごまかして次に行く傾向があります。
「きちんと読みたい」と本人が思うことが前提ですが、その目標に向けたトレーニングと考えましょう。
「家では、一人でゆっくり読めるようにする」「親が横について、ゆっくりと一緒に読む」ことが有効です。
コンピュータの自動読み上げでも構いません。
ほかの能力が劣っているわけではないので、これだけで理解が進みます。
自信にもなります。
繰り返せば、スピードも上がっていきます。
トレーニングですから、目標があることが前提です。
繰り返し、焦らず続けることです。
スポーツと同じように、サポートするコーチが必要です。
自宅では親がコーチになります。
コーチは、横についてしっかり観察し、
できるようになった変化やペースの早い・遅いを伝え、
自信を持てる確実な速さと
ちょっと無理をするくらいの速さで読むことをリクエストします。
自分の力で獲得する経験を積めるように親からは単語や文章の説明は極力しないで、
「理解する経験」「調べる経験」をさせてあげるようにします。
※「トレーニング」とは、「目的を常に忘れない」で、
・自分は今知らなくても、ほかの人がやった克服法を知る。
・自分で克服法を見つけ出す。
・あせらず繰り返すことで身につく。
※「目的」とは、『文章を読んだら、自分にとって必要な情報を読み取れるようになる。そして、○○○をやる。』など。
「読むことが必要だ」と思うことも大事。
本来は、学校で付いていけずに、ごまかすことを覚える前に、
学校で各自のペースに合わせて「理解する経験」「調べる経験」を対応できればよかったと思います。
それぞれの生徒で違う、ほんの一部の能力が不足しているだけですから、
そのためには、生徒をよく観察して、個人に合わせて少しずつ配慮してもらえればよいのですが、
今の日本では難しいようです。
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ここまで書いたことは、ロボット教室で私が以前から考えているテーマでした。
テキストを読まない生徒がいる。
テキストを読めない生徒がいる。
写真や完成品を見るだけで形を完成させる生徒がいる。
このような生徒と何人も出会ってきました。
読まない生徒、読めない生徒の読み方の特徴は次のようなものです。
その行のその単語だけを読みます。
そして読み終えたら忘れていきます。
音読して人に聞かせることはできますが、これでは文章を理解できていません。
「結局何やったらいいの?」「答えは何?」と、その場を切り抜けるためのことばしか出てきません。
理解できることをあきらめています。
ごまかしてスルーしているのも、様子を見ていたらわかります。
これらの生徒は、残念ながら国語力が不足しています。
「ダメなところを直さなければならない」と考えているわけではない
ことをご理解ください。
生まれながらに脳の機能として不足がちな人がいること、
人によって弱いところが違うこと、
そういう人でも自力で理解できるよう周りの人がサポートできれば何の問題もないこと、
一部の能力が不足していてもほかはまったく大丈夫なことが多いこと、
最終目的は本人の幸せでそれさえぶれなければ途中は何であっても構わないこと、
を記しておきます。
「本人の幸せ」とは、
「自分のアイディアを考え出せること」
「何とか形にできること」
「自分が望む形で受け入れられること」。
そのためには「あきらめない力」も大切です。
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現在受講いただいているロボプロでは2つの国語力が必要です。
・テキストの文章から、必要な情報を読み取る力
・プログラミングで、マイコンにやってほしいことを整理して形にできる力
1つ目がインプットの国語力、
2つ目がアウトプットの国語力です。
これらの能力が身につけば、世の中を自在に生きていけます。
1つ目の国語力について、ここまで書いてきました。
2つ目の国語力は、「表現力」とも言えます。
人間を相手にするよりはずっと簡単で、書き方の約束パターンを見つけ出して、やり方を抜け落ちなく実行の順番に書いていくだけです。
これだけのことですが、これだけのことを誰もができるわけではありません。
でも、嫌に感じることをさせたいわけではありません。
「知りたい」と思わない人に教えることはできません。
ロボプロでロボットとプログラミングを作る時間をきっかけにして、
自分の人生にとても大切な力として、
「国語力」を知らず知らずのうちに使って、磨いていってほしいと願っているのです。
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