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【NHKラジオに古田貴之先生が出演(古田先生の人生の目的)】

category : コラム, 勉強する, 人生を考える 2020.9.4 
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[8月に発送した便りです]
 2020年7月31日のNHKラジオに古田貴之先生が出演されていました。
(NHKラジオ第一「高橋源一郎の飛ぶ教室」2020年7月31日放送)
 このようなことを話されていました。

 古田貴之先生:
「僕はたまたま数学が得意だったから、ロボットをいろいろ考えているけれど、
 僕が本当にやりたいことは、
 『人と人とをつなげて、多様な人が生きる社会を作ること』
 人の心を動かすものを作って、人の幸せに貢献したいんだ。」

 これが、古田先生の「人生の目的」だそうです。
 古田先生のことばを聴いてふと思いました。
 ロボット博士養成講座のロボット教室に来ているみんなは、どんな目的があって来ているのだろうか?と。

 「小さい目的」はあるのじゃないでしょうか?

 例えば?
 ・ロボットやプログラミングはまだよくわからないけれど、なんかできそうな気がする。おもしろそう。
 ・思い通りにロボットを動かせるようになりたい。

 みんなこうであってほしい、とは思いますが、いろいろあるでしょうね。みなさんはどんな目的で来られているでしょうか?
 押し付けるものではないし、一人一人違うので、みんなの思いを聴かせてほしいなあ、と思います。

 目的ではないけれど、例えば?
 ・自分が知らなかったことを知ることができてワクワクしている。
 ・テキストにある問題や問いを、「そんなこと考えたことなかったけれど、へえ、計算したら答えが出るんだ」と思っている。
 ・組み立てとロボットの形と動きとプログラムは、全部関係しているんだ。

 といったことを感じていてくれたらいいなあ、と思っています。
 「ロボットを研究して、作る人になりたい」という夢まではあっても、目的を考えたことがない、もしくは「わからん」が素直な意見ではないでしょうか。
 「自分が考え出して作ったロボットを使って、自分や家族や友人や知り合いや街の人や日本の人や世界の人に役立つものを作りたい」というまでの大きな人生の目的
は、経験を積んでから見つければいいので、まずは「小さい目的」を見つけましょう。

※「目的」を持っていない人も多い
 目的や夢を考えたことがない、見つけていない大人が大勢います。
 その中でも心が狭い大人は、自分の得しか考えていないので、セコいです。ズルいです。
 正しい答えを、最短で、無料で、手軽に、欲しがります。できることなら頼まなくても、ほかの人が勝手にやってくれて、うまくいった結果だけくれたらいいと思っています。
 そういう大人が近くにいる子供も、セコい、ズルい考え方をしがちです。
 セコいの、ズルいのはダメですよ。結局得になりません。

~~~~~~
 ちょっと怖い人間の真実を書いておきます。
 人は、自分の目的に合った行動をしています。ロボットを学ぶための勉強も、ロボット教室での行動も、ロボット教室に来るまでの準備も、帰ってからの振り返りも。すべてそれです。
 その結果、知識や経験、得たものは同じテキストを受け取って読んでも、大きな差が出てきます。ある人は「おもしろい」と言い、ある人は「つまらん」「わからんかった」と言います。
 極端な例では、全国大会に出るようなロボットを作る人、テキストの文字が多いところを「めんどい」と読み飛ばして頭に何も残っていない人に分かれます。
 目的が違って、行動が少し違うだけで、このような違いが出てきます。

 「つまらん」「わからんかった」という人をダメだというつもりはありません。なんとかサポートできたかもしれないので、申し訳なく思います。
 ただ、せっかく自分の時間とお金を使うなら、自分の技術や能力を高めるには面倒なことは絶対にあるので、ワクワクするものに取り組んだ方がいいと思うのです。

※「ワクワクするものに取り組む」にピンとこない人へ
 理由があります。
 同い年の子供全員を一つの教室に入れる学校のシステムが、明治時代から続いているからで、今の子供たちのせいではありません。
 学力も、成長段階も、興味も、性格も違う子供たちを一つに部屋に入れて、「今わかっていること」を、さも世界のすべてがわかっているかのように、先生から教えてもらう、というシステムは無理があります。そうしないと、大勢に効率的に教えられませんが、一人一人をよく見て「ワクワクするものに取り組む」教育をする余裕はありません。
 生徒が人としてまったく違うのに、「正解」を答えなかったら、学校だけでなく、友達からも、家族からも、笑われたり、怒られたりします。
 そういうシステムでは、子供たち全員に「ワクワクするものに取り組む」という発想をしてもらうことはできません。
 経験したことがないものは、よくわからないものです。

 ともかく、ロボット教室では、「正しい答えを教えてもらおう」「遊ばせてもらおう」よりは、「それって、どうやったらできるのかな?」と思って来た方が、通う意味がありますよ、というお話です。

~~~~~~
 「それって、どうやったらできるのかな?」を説明します。
 誰にも、「今できること」「今できないこと」があります。
 問題が起こったら、「今できること」で解決しようとします。
 「今できないこと」しか方法がないなら、あきらめます。
 だから、「できる」と思うことは、「あきらめない」というだけ大事です。そのままでは解決できないとしても。

 実際には、「できないこと」「今できること」「今はできないけれど、これからできるようになりたいこと」の3つに分かれます。
 問題が起こった時、大人も子供も関係なく、「わからん」「知らん」「誰かやって」と言えないことが多いです。
 そういう時は、「できないこと」は「今できること」でカバーするのです。「今できること」で足らなかったら、次のことを自分の力に追加していくのです。
 「知識、技術、協力を得る、好奇心、行動 など」
 これらが、「今はできないけれど、これからできるようになりたいこと」です。
 そうしたら、問題は解決し、知識などは増え、経験値は高まり、自分がバージョンアップします。
 ただ残念なことに、自分で考えて、決めて、行動するしか方法はありません。「全部教えて」「○○さんが悪い。僕は被害者」と言っている人は何も得られません。

 これが、「それって、どうやったらできるのかな?」の回答です。
 この思いを持つためには、今回のテーマの『目的』が大事です。自分がそう思ったらいいのですから。誰から何を言われても、笑われても、関係ありません。
 今まで、『目的』のようなことを話して笑われて、悲しかった人もいることでしょう。それは、相手の行動が悪い。でも相手を責めても仕方ありません。「この返し方がおもしろい」とテレビで学んだだけだから。もしくは「そんな考え方も素敵だね」と思う心の余裕がなかったからかも。

 「○○をやりたい」「○○をできるようになりたい」
 そんな思いを教えてください。何かサポートできるかもしれません。授業の前後やオンラインで話を聴きます。応援しています。

※学校のはなし
 予想はしていると思いますが、これらはロボット教室のことだけではなく、学校の勉強も同じです。
 学校や塾は、「知識や技術(テクニック)」を教えてくれますが、『目的』がないと何も残りません。居残り授業で教え込まれても、「これだけ覚えとけ」と言われても。何も残っていないのは、ワクワクとする『目的』を自分が持っていないからです。
 『目的』がなくても、おもしろがって楽しんで学んだら、使えるように記憶に残ります。(先生の教え方の問題じゃなく、自分の問題です。念のため)
 「無条件にすべて覚える」というのも、できる年齢のときにやっておくのも悪くはないですが、別の話です。
 大学では、『目的』があるか、おもしろがって楽しんで学ばないと、身につきません。もっと言うと、行く意味がありません。自分でお金を稼いで、自分のお金で学びに行く方がいいですよ。

※「教えてもらって、覚える」のではなく・・・
 小中学生が勘違いしていることが多いのが、「作り方を教えてもらって、覚えたらいい。世界のことは、偉い人が調べて、すべてわかっているはずだから」というのがあります。科学も社会も、世界の大半のことはわからないし、有名な人はたまたま有名なだけです。「偉い人が調べて」というのは自分自身です。つまり、「覚える」のではなく、自分で「考え」て「調べる」のです。
 だから、『目的』を心にいつも持ってもらいたいし、今わからなかったら、考えてもらいたいし、いつか見つけてもらいたいと思っています。
 実際に、自分で考えて、疑問に思って調べてみると、わからないことがどんどん出てくる経験をするはずです。それが苦しくて、正しい答えを誰かから教えて欲しくなりますが、そういうものです。自分で見つけるものです。
 自分の『目的』のために考えて調べているのだから、それを楽しみましょう。だから、「先生の目を盗んで、ごまかして、スルーしよう」という考え方は、何もかも間違っています。
 大学の先生の仕事は、「教える」ことではなく、学生が話したことに興味を持って「どうして、そう考えたのですか?」と、学生が出した結論ではなく、学生が考えたことを順番に尋ねることです。偉い先生ほど、学生から理由やそう考えるしかない情報を教えてもらいたがります。

(学びラボ 若狭 喜弘)

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