[10月に発送した便りです]
このロボプロコースでは、
「こんなことができる」と体験を楽しんで、
「○○としたら、△△となるんだな」と、ロボットやプログラミングのルールを自分の方法で理解し、使えるようになっていきましょう。
だから、テキストが間違っているとか、わかりにくいとか、時間内に終わる量じゃないとかは、ヒューマンアカデミーの責任でバージョンアップしています。なので、みなさんが自分でやってみての体験談や意見を大歓迎しています。人によってはできるようになるまでに時間がかかるかもしれないけれど、本気でロボットについて学びたい人に向けて役立つように、常に工夫しています。
そして、パーツが壊れているとか、壊してしまったとか、うまくいかないとか、「理解するのに時間がかかるから協力して」とかは、学びラボ(本教室)の責任で対応しています。理解を助ける補足のテキストを作ったり、みんなの創作意欲が出るように企画を開催したりしています。
ロボット教室の生徒のみんなは、体験を楽しむこと、自分で理解し、使えるようになるだけです。「やってみよう」などの問題は、理解したことを実際に使ってみるチャンスというだけです。そう、
「こんなことができる」と体験を楽しんで、
「○○としたら、△△となるんだな」と、ロボットやプログラミングのルールを自分の方法で理解し、使えるようになる。
のは、自分の責任です。
たまに、「直接教えてくれなきゃわからない」という人もいます。ですが、テキストにはすべて書いています。読んで理解しようとしていないのは、自分の責任です。
と言いつつも、わからないことは出てきます。質問してください。「問いで求められていること(何を考えなきゃいけないか)」「どこまで自分でやったか」を知らせてください。一緒に考えましょう。
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と、何度伝えても、なぜかいつも「書いている通りにやるのだけはできるけれど、問いの答えがまるっきりわからない」という人が一部います。
でも、「書いている通りにだったらできる」と言っている人も「書いている通りにできていない」のです。たとえとか哲学的な表現じゃなくて、大事なところを自分勝手に読み飛ばしていたのを発見したことが何度もありました。
「うっかりさん」じゃないと僕は見ています。本当にうっかりだったら、言われなくても何度も読み返すだろうし、3回本気で読めば気づくはず。
対策に何をしましょうか?
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あくまで提案です。自分がそうだと思う人は、「自分に『効果』がある方法」を考えて、選んでください。「自分ができる方法」じゃなくて。①②以外でもかまいません。
①おそらく理由は、気が急いてその行しか見ていないほど「視野が狭くなっている」からなので、『章の最初に戻って読み直す』。
②おそらく理由は、気が急いてキーワードを読み落としている、というよりも「結局読んでいない」ので、『段落ごとに最低1つずつ、キーワードを見つけて、マーカーで色を塗る』
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さらに、このようになる原因があると、僕は考えています。
話が変わりますが、
コーチングを教えるセミナーを開催すると、「(部下を/生徒を/子供を/お客さんを)導きたい」という人がたまにお越しになります。
愛しいなあ、献身的で素敵な考え方だなあ、とは思います。
でも、「導きたいその人の目標は?」「その人は何が好き?」「その人は将来どんなことに魅力を感じている?」と質問しても、『導きたい相手の人のことば』で教えてもらえることはありません。
セミナーに来た人は、
「自分の不安を解消するために、その人に目標を達成してほしい」
「その人には考える力がない、決める力がない」
と考えているから、「自分が最適と思うゴールに」「導きたい」となるのです。
このあとは親子関係に絞って書いていきます。ほかの関係でも同じですので読み替えてください。
「導く」限りは、「失敗は許されません」。「失敗させたくありません」。親心として理解できます。でも、これでは親がクレーンゲームでカプセルをつかみだそうとしているプレーヤーです。本来は子供自身のはず。
「クレーンゲームの爪」の子供は、自分で考えることを止めます。自分がプレーヤーじゃないから。下手に考えたら怒られるし、自分で考えて行動して失敗したら怒られます。チャレンジすることも認められません。次第に、親が決めたノルマをこなすだけの、言われたとおりにやるだけの、どうしたら怒られなくて済むか、どの程度なら手を抜いても怒られないか、教科書などの問題の途中の手間を省いて正解をひらめかないかひらめきを待つだけになっていきます。
そうなると、達成する力も、考える力、決める力もないままで、もともとそれらの力を持っていたとしても、「(苦労しても)自分がやりたいことは何か?」を自分自身に問いかけることもなくなります。
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もう一つ別の話をします。
日本の社会には、「がんばったらがんばっただけ損」という価値観があります。
これに対して、「なにごとも一生懸命にやらなきゃ」と口から出かかりますが、そんなことばには何の効果もありません。
例えば、
職場で定時に帰ろうと必死に急いで作業をして終わらせたら、追加で仕事を頼まれて帰れない。さらに、自分の作業量が多いのに、ほかの人と給料が一緒。とか。
職場の非効率を変えるために、一人で本を読んだりセミナーに出たりして勉強して提案をしたのに「前例がないから」と却下されたり。または、それで効率化されたら新しい仕事が追加されたけれど、給料が変わらない。とか。
子供の例で言えば、15分間でもゲームがしたいからと急いで宿題をやり切ったら、問題集を追加された。とか。
目標やルールが決まっているようで決まっていないのが問題だし、その目標やルールは同意を強制されて変えられてしまうのも問題です。
その一人のがんばりに報いたり、味あわせてくれる文化があまりありません。
抜け駆けしたとか、いい気になっているとか、天狗になっているとか、言われ、ねたまれ、仲間外れにされたりします。がんばったことに関係ない失敗をことさら大きく言われたりもします。「周りのみんなのおかげだ。感謝しろ」と言われることも。
一人一人の目標ややりたいことに鈍感で、というか、もしかすると、「自分で自分の目標を考えない」ように、学校を含めて社会で教育されているのかもしれません。自分の目標ややりたいことがないし、やっていないから、相手の目標ややりたいことに関心を持たなかったり、想像できないのかもしれません。
こうなると、「がんばったらがんばっただけ損」だし、「考えないで言われたとおりにしておこう」と思ってしまうのは、仕方ないことです。でもおさらばしたいですね。
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ロボプロコース(学びラボ)に来ている生徒の中には、本人がそれほど意識しないまま、まさに導かれるように、このようなもったいない思考パターンにはまってしまっていることもあるように見ています。
友達同士の「まじめー」という自分が取り残されるのを恐れて、相手自身に努力させないことば掛けだけでも、こんな思考パターンを身につける練習になっています。
でも、「誰の責任」と追及するのはやめておきましょう。労力の割りに意味がないので。それより私たちが今からできることから変えていきましょう。
『失敗しても、自分がやりたいことに近づいているのだったらいいよ。もっとやれ』
『がんばったら、がんばったことを一緒に「やったね」と喜ぶ』
そして、
『「目標」や「(苦労しても)やりたいこと」を常に聞く』
を、やっていきましょう。
「次の目標」は、無意識に同じレベルのことに決めがちですが、「(苦労しても)やりたいこと」に進むために半歩でもステップアップした目標となるよう、本人が決めたいですね。(なお、機械的に「〇%アップ」とするのは賢い目標ではありません)
(学びラボ 若狭 喜弘)
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